2021 Fiscal Year Research-status Report
Interannual to decadal variations of oceanic submesoscale motions in the Kuroshio Extension region
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20K04075
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
佐々木 英治 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(アプリケーションラボ), 主任研究員 (50359220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹井 義一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 主任研究員 (40419130)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サブメソスケール / 微細循環 / 高解像度海洋モデル / 経年変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では海洋の大規模循環,中規模渦,サブメソスケールの微細循環を同時に再現しうる水平解像度約3キロメートルの高解像度で実施した北太平洋海洋モデルの1990年から2018年までの過去再現実験の出力を用いて,冬季に活発な微細循環の経年から10年規模変動を調べている。昨年度に解析した亜熱帯東部北太平洋域では、エルニーニョが発生すると、解析領域の混合層が深く南北の密度勾配が大きくなることで、混合層内に大きな有効位置エネルギーがより多く蓄積され、それがサブメソスケールの大きさの運動エネルギーに変換される混合層不安定と呼ばれる傾圧不安定が強化し、微細循環がより活発になることを解明、その成果を論文化し受理された。この海洋モデルでは、亜熱帯北西太平洋域でも混合層不安定の強さの変動による冬季の微細循環の経年変動が見られ、その変動は太平洋十年規模変動とほぼ同期している。これらの結果は、冬季に活発になる海洋微細循環の経年変動は海域によって変動が異なり、関係する気候変動現象の種類も異なることを示唆している。また、本年度は黒潮続流域で海洋微細循環の経年変動が顕著な海域を探索したところ、冬季の混合層が周辺海域より深い黒潮続流の南側の海域を特定することができた。そこで、微細循環の強度の一つの指標である海面相対渦度と混合層深のそれぞれ経年変動の時系列データを調べたが、微細循環が活発な冬と混合層が深い冬が同期していない年もあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高解像度海洋モデルの出力を用いて、本研究の研究海域である黒潮続流域を解析する前に北太平洋東部亜熱帯域に注目し、冬季に活発な海洋微細循環の経年変動とそのメカニズム、さらにその変動がエルニーニョと関係があること示した論文が受理され、2022年度に出版される予定である。また、黒潮領域の海洋微細循環の解析も開始し、その経年変動が大きな領域を特定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
高解像度海洋モデルの出力を用いて、黒潮続流の南側海域では混合層深が周辺海域より深く、冬季に活発な海洋微細循環の経年変動はその海域で顕著であることを特定したので、その海域に注目する。2022年度は、微細循環の経年変動が、混合層深の変動だけではなく、南北の密度勾配の変動も考慮した混合層不安定と関連があるかを調べる。更に、その微細循環の経年変動がどの気候変動と関連があるか、また黒潮続流の流速、流軸位置、流軸の安定度の変動との関連を調べ、黒潮続流の南側海域の微細循環の経年変動のメカニズムとその要因を明らかにする。
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Causes of Carryover |
RAIDシステムのデータストレージケースを2021年11月に発注したが、コロナの影響で生産が遅延、年度内に納品されなかった。また、2022年2月に開催されたOcean Sciences Meeting 2022は、コロナの影響でハワイの現地開催ではなく完全オンラインの開催となり、旅費を使用しなかった。2022年度はデータストレージケースが納品される予定であり、またコロナの影響が少なくなった場合、国際共同研究者のハワイ大学Bo Qiu博士またはカルフォルニア工科大学P. Klein博士との対面での打合せで旅費を使用する計画である。
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