2021 Fiscal Year Research-status Report
史料による歴史時代の火山現象とその機構の解明―新世代の解析手法の確立に向けて
Project/Area Number |
20K04079
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
津久井 雅志 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (50192191)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 富士山宝永噴火 / 噴火推移 / 降灰分布 / 磐梯山1888年噴火 / 山体崩壊 / 古文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度に続き,2021年度もコロナ感染症対策のため,調査が様々な形で制約を受け,計画通りには進められていないが,以下のようにまとめられる. 1.富士山宝永四年(1707年)噴火の史料収集と解析を進めた.史料収集にあたっては,栃木県文書館,東京都立中央図書館,千葉県立図書館,君津市立図書館,三井文庫,山梨県立図書館,忍野村史編纂委員会,静岡県裾野市富士山資料館,神奈川県箱根町郷土資料館,小田原市中央図書館,長崎県肥前島原文庫,肥前鹿島祐徳稲荷神社等で原資料の閲覧と撮影行った.史料には噴火の推移に関するもの,被害実績に関するもの,復興に関するものがあり,順次整理を行っている.一部史料の解読は古文書の専門家の協力を得て校訂を済ませた.また,山梨県富士山科学研究所では堆積物の剥ぎ取り標本の観察を行い,実際の堆積物と史料に基づく噴火推移の対比を試みている. 以上のように収集と解析作業を進めているが,非常に多数の史料があるため,収集作業にはなお時間を要する見込みであり,したがって取りまとめにはさらに時間を要する.千葉県,茨城県内の記録の新たな解析から.現段階でも旧暦宝永四年十一月二十三日から十二月九日未明までの日ごとの噴火推移・降灰時刻と降灰範囲に関して既往の報告をより高分解能で改訂する見通しが立った.このデータをもとに刻々変化する噴火の規模,風向きの復元をめざし,史料集としてまとめる予定である. 2.磐梯山明治21年(1888年)噴火の現地予備調査を1回実施し,崩壊堆積物の観察と分布の概査を行った.崩壊堆積物を構成する岩石種の検討から崩壊前の山体を復元する可能性が出てきた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染防止のための行動抑制と,図書館,資料館の利用制限が大きな理由で進展が当初の研究計画よりもやや遅れている.内容的には研究計画で目標とした高分解能化に資するデータが得られつつある.
|
Strategy for Future Research Activity |
史料調査と現地調査を通常通り計画に沿って行えるか,そのための時間を確保できるかが大きな課題である.宝永噴火の高分解能化が進むと,最近高度化が進んだシミュレーションの精度向上をもたらすパラメータを提示できる可能性が高い. 研究完了時には史料を用いて噴火現象を高度に理解するための一般的な方法論を確立する段階をめざしている.
|
Causes of Carryover |
野外調査,文献調査ともコロナ感染予防のため抑制されたため,旅費の支出が少なかった.また,そのため解析作業が遅れ,古文書の校訂のための人件費の支出が少なかったことが大きな理由である.次年度,調査の実施と,対面で実施されれば学会参加のための旅費,校訂,成果出版のための支出に充てる予定である.
|
Remarks |
(1)今課題の成果,(2),(3)以前の課題による成果出版物(紙媒体)を補訂してweb上に掲載
|
Research Products
(3 results)