2023 Fiscal Year Research-status Report
Growth and decay of gas chimney from the occurrence and geochemical characteristics of gas hydrates and methane-derived authigenic carbonates
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20K04088
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
松本 良 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (40011762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
登尾 浩助 明治大学, 農学部, 専任教授 (60311544)
深澤 倫子 明治大学, 理工学部, 専任教授 (40409496)
戸丸 仁 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (80588244)
大井 剛志 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (40726486)
蛭田 明宏 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (90726465)
Snyder Glen 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (90751777)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ガスハイドレート / メタンハイドレート / 嫌気的メタン酸化 / ガスチムニー / 自生炭酸塩 / マウンド崩壊 / ポックマーク / BSR |
Outline of Annual Research Achievements |
海底下に賦存するメタンの水和化合物であるガスハイドレート、メタンハイドレートとも言う、は、天然ガス資源として注目される一方、地球表層部におけるメタンの一時的貯留槽として地球環境の変動に関わると考えられている。海洋に溶存する炭酸の炭素同位体組成変動は地球史における劇的環境変動や大量絶滅がガスハイドレートの分解に起因する可能性を示唆する。本研究は現在の海洋に賦存するハイドレート及び関連する自生炭酸塩の挙動を実証的に分析することにより、ハイドレートの環境インパクトを検証することを目指してきた。 当初、サハリン島沖合のハイドレート分布域におけるメタン湧出を対象としたがコロナ禍及びロシアのウクライナ侵攻によりサハリン沖タタール海峡での調査は断念、日本海周辺のハイドレート分布域を対象として、1、過去におけるメタンハイドレートの大量分解とメタン湧出及びそれらに起因する自生炭酸塩の形成、地質環境の変動との関わりを、沖縄県南城市に分布する鮮新世島尻層と知念砂層を対象として明らかにし(地質学雑誌に発表すみ)、2、現在のメタンハイドレートとメタン湧出の関わりについては、千葉県九十九里地域の湧水の分析と鳥取県沖の隠岐トラフ域における、連続的環境モニタリング、海水溶存メタンの深度プロファイル、水温変動、水塊の流向・流速などを実施し、海底下のガスチムニーに伴うメタンハイドレートの安定性の評価を実施中であり、本研究については24年度中に報告書としてまとめる予定である。さらに、3、我が国では20年前からメタンハイドレートの探査と資源評価が行われているが、脱炭素の影響で関心は薄れている。資源の乏しい日本でガスハイドレートは依然として重要なリソースである。今日までにどこまで明らかになったか俯瞰することを目的としたレビューを行った(1編は地学雑誌に印刷済み、もう1編は印刷中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍とロシアのウクライナ侵攻により当初計画の実施が困難となったため、研究目的を達成するための調査計画を大幅に立て直すこととなった。新たに対象としたのは、日本周辺海域で現在ガスハイドレートが密集し、本研究グループよる調査が進展している日本海東縁であり、特に鳥取沖については鳥取県水産試験場との共同研究として長期的モニタリングが可能となった。沖縄県南城市の鮮新世の地層(島尻層と知念層)については、過去における大規模なハイドレート分解が想定される事例として詳細研究の対象とした。さらに、陸上におけるメタンハイドレート由来メタンガスの湧出として九十九里の茂原付近でのサンプリングを行った。これら3つの調査研究プロジェクトを2021年頃より本格的に進めることが可能となり、過去(鮮新世)から現在(日本海東縁)、深海底(隠岐トラフ)から陸上(茂原)のメタン湧出の評価という、当初計画より大きなスコープでの研究としてまとまりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年は研究期間の延長をしていただいた最後の年度であり、以下のように調査を完了し研究成果を取りまとめる。 (1)鳥取沖隠岐トラフの長期モニタリングについては、本年10月頃まで調査を継続する。これまでは海洋のメタン濃度の深度方向と水平方向の濃度変化を手がかりに海底下のメタン賦存構造(ガスチムニー)からの湧出量変化を評価してきたが、今年度は、精密観測装置PICARROを用いて大気メタン濃度を広域的に測定し、海底メタン湧出が大気にどれほどの影響を与えているか検証する。 (2)茂原地域で採取されたメタン湧水について湧出率、メタンの炭素同位体測定を行い、この地域におけるメタンが過去のハイドレート分解によるものか否か判定するとともに大気メタン濃度への影響を評価する。 (3)投稿中のメタンハイドレート総説を完成させ、鳥取沖の調査結果については報告書をまとめ学会で発表し、学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍とロシアのウクライナ侵攻により当初の調査計画を見直したため、研究の進捗が遅れた。当初の遅れは現在にも響いており、最終的に、2024年度に最終報告を準備することとなった。
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