2021 Fiscal Year Research-status Report
MRI(核磁気共鳴画像法)を用いた水に浸った雪粒子の急速成長過程の研究
Project/Area Number |
20K04091
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
竹内 由香里 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90353755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 逸人 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 主幹研究員 (00833774)
島田 亙 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (70401792)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 雪粒子成長速度 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
雪は積もった直後から粒子の大きさ(粒径)が刻々と変化するが、水を含むと成長速度が速まり急速に増大する。雪の粒径は積雪の密度や強度、透水性、アルベドなどの物理的な性質を左右する重要な要素であるため、雪粒子の成長速度は雪氷学はもとより、自然災害科学や地球科学の研究においても重要である。水に浸った雪粒子は0℃であるが、本研究では、より速く成長すると推測される過冷却状態の水に浸した雪粒子の変化をMRI(核磁気共鳴画像法)を用いて非破壊で測定することを目指す。温度条件を変えて水に浸った雪粒子の成長過程を解明し、水の過冷却度合いを考慮して雪の粒径変化を表す新しい「雪粒子成長モデル」を構築することを目的としている。 今年度は、温度制御するための恒温槽を低温室内に搬入し、雪の試料を水に浸した状態で、温度管理しながらMRIで測定するための装置を組み立てた。予備実験を繰り返し、問題点を改善する実験手法を見出した。問題点の1つめは、試料の雪と水をサンプル瓶に入れるときに気泡が混入することである。MRIでは雪粒子と気泡を区別するのが難しいため、気泡が混入しない手法を考案した。2つめの問題点は、MRIの測定に約2時間要するため、その間にMRIの装置の熱で雪試料の一部が融けてしまったことである。雪試料が凍結しないように低温室の設定温度は低くせずに0℃とし、サンプル瓶の周囲に冷却液を循環させる対策をした。試行錯誤を繰り返し、雪粒子と水の試料がMRI測定中に融解も凍結もしない冷却液の温度(-8℃)を見出した。また、恒温水槽内に試料をいれた容器を置いたために、水槽内の不凍液がうまく循環せず、温度管理がうまくいかないという不具合も生じたが、容器のサイズや置き方を工夫して改善した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度にできなかった実験装置の設置と予備実験を行ったが、その後の新型コロナウィルス感染拡大のために、今年度に計画していた0.0℃の水に長時間浸した雪粒子の成長過程をMRIで測定する低温室内での実験ができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験の結果や改善した実験手法により、0.0℃の水に5日間程度浸した雪粒子の成長過程をMRIで測定する。測定データを3D-Watershed法を用いて画像解析し、粒径分布の時間変化、さらに雪粒子の成長速度を求める。得られた結果を対馬(1978)の先行研究と比較し、実験手法の妥当性を確認し、必要であれば改善を図る。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染防止のために計画していた実験を翌年度に延期し、これに伴なう出張旅費を支出しなかったため。延期した実験を実施するための出張旅費に使用する。
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