2020 Fiscal Year Research-status Report
首都圏平野部の地下地質層序・堆積相構成に基づく地盤の類型化と地盤震動特性の解明
Project/Area Number |
20K04094
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中澤 努 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ長 (50357620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長 郁夫 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (10328560)
小松原 純子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (40443189)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 層序 / 第四紀 / 関東平野 / 常時微動観測 / 地盤震動特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は既掘削ボーリングコアを用いた関東平野の更新統層序の再検討とボーリング地点近傍での常時微動観測のH/Vスペクトルと層序との対応関係の検討を行った.また微動アレイ探査手法の検討を行なった. 層序の検討では,武蔵野台地東部の“東京層”を,層相,テフラ,花粉化石群集などをもとに再検討した.その結果,従来“東京層”と一括りにされていた地層には,時代の異なる複数の堆積サイクル(海進-海退サイクル)が混在していることが明らかになった.このうちMIS 5eのサイクルには谷を埋めるように局所的に分布する軟らかい泥層を伴う.この谷埋め泥層の分布域でこれまでに取得した常時微動観測データを解析したところ,地盤震動の増幅特性を示すとされるH/Vスペクトルにはやや低周波に明瞭なピークが認められた.一方,この谷埋め泥層の分布域以外の地域では同深度により古い時代の海成砂層を主体とする地層が分布する.この地域のH/Vスペクトルには谷埋め泥層分布域に比べより高周波にピークが認められた.このように武蔵野台地においても地下の地質状況,特に谷埋め泥層の分布を反映して地盤震動特性が場所により大きく異なることが明らかになった.同様の谷埋め泥層は埼玉県の大宮台地にも認められることから,新規に大宮台地においても常時微動観測を実施した.予察的な検討によれば,大宮台地においても武蔵野台地の谷埋め泥層分布域に似た地盤震動特性が示された. 微動アレイ探査手法の検討では,関東地域の445地点の微動アレイ(各地点で半径0.6mから400m)を処理し,今後の微動観測,解析に役立つ知見を得た.具体的には,まず微動アレイ探査において加速度計が速度計を代替できることを検証した.次に解析可能波長帯域の上限がアレイ半径に依存すること, 及び極小アレイ(半径0.6m),小アレイ(~10m)の具体的な上限値を統計的に評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
首都圏での新型コロナウィルス感染拡大により野外調査が制限されたため,新規の野外調査は埼玉県内での予察的な微動観測実施のみとなったが,過去に取得したデータの解析・検討に重点を置き,出来うる限りの検討を進めた.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染状況をみながら,東京都・埼玉県内を中心に常時微動観測を実施する.沖積層の基底深度・堆積相分布を考慮して中川低地および荒川低地を横断する測線を設定し,測線上の多地点で微動観測を実施する.また武蔵野台地および大宮台地においても更新統の谷埋め泥層や台地を開析する小谷の谷底低地にて微動観測を実施し,地盤震動特性を検討する.検討結果は随時口頭発表および論文発表を行う.
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Causes of Carryover |
首都圏での新型コロナウィルス感染拡大により野外調査が十分に実施できなかったため,次年度に野外調査を実施する.
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Research Products
(11 results)