2022 Fiscal Year Research-status Report
ベイズ推定による上部マントル不連続面の高精度マッピングの研究
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20K04096
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| Research Institution | Hokkaido University |
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Principal Investigator |
吉澤 和範 北海道大学, 理学研究院, 教授 (70344463)
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2020-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 上部マントル / ベイズ推定 / リソスフェア / アセノスフェア / レシーバ関数 / 表面波 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では，実体波レシーバ関数やマルチモード表面波の位相速度等の観測情報を用いて，ベイズ推定に基づく非線形インバージョンを通じ，上部マントル内の各種不連続面とその空間分布推定法の確立を目指している．本年度は，これまでに代表者の研究グループで開発・改善を進めてきたレシーバ関数（RF）とマルチモード表面波分散曲線を同時に用いたベイズ推定法を，大量の観測データに応用していくための基礎研究を進めた．今年度は主に，高精度なマルチモード位相速度分布が得られている豪州大陸を中心に，新たなP波レシーバ関数解析を進め，試験的なインバージョン解析を行った．新しいレシーバ関数解析では，観測点への入射方向や震央距離に応じて震源グループを作り，それぞれの震源グループ毎にレシーバ関数を求めてインバージョンすることにより，観測点周辺域の異なる深さでの変換点を反映した速度構造モデルの復元が可能となることが示された．特に豪州大陸東部のリソスフェアの厚さが急変する地域において，西側のクラトン域から入射する場合と，東側の海域から入射する場合では，結果として得られたＳ波速度モデルにおいて，リソスフェアの厚さの違いが明瞭に反映されることがわかった．またユーラシア大陸におけるマルチモード表面波に基づく３次元S波速度モデルの構築も進めている．これらの手法や解析データは今後，豪州やユーラシアなど，世界の大陸域におけるリソスフェア－アセノスフェア境界，Lehmann面等の主要な不連続面を含む，高精度な上部マントル構造推定に活用する予定である．またこれらの成果の一部は，主要な国内学会や国際学会にて発表を行った．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実体波レシーバ関数解析の高精度化や世界各地の表面波解析などの基礎研究が順調に進展し，大陸域での高精度な不連続面マッピングへの応用が進んでいる．
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究を通じて開発を進めてきたレシーバ関数とマルチモード表面波を統合したベイズ推定による上部マントル不連続面マッピング法を，豪州やユーラシア等の大陸域を中心に適用し，上部マントル内部の境界面と鉛直異方性を含む高精度なS波速度モデルの構築を進めていく．ベイズ推定に基づく本手法は膨大な計算時間を要するため，北大スパコンや研究室の現有機材等の計算資源を活用していく．
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| Causes of Carryover |
コロナ禍における国際学会へのオンライン参加により海外出張予定がキャンセルとなり，また計算機材に関連する経費節減努力より一部残額が生じた．繰り越し分は，次年度に予定している海外でのシンポジウム参加費や，計算機材の拡充・改修，消耗品類の購入に充当予定である．
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