2022 Fiscal Year Research-status Report
Historical change of the paleosols shows the uplift in the southern marginal area of the Tibetan Plateau
Project/Area Number |
20K04104
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
吉田 孝紀 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (00303446)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | チベット / ヒマラヤ / 中新世 / 古土壌 / モンスーン |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年9月中旬において,中央ネパール・ムスタン地域の新第三系について調査を行った.この地域の地層は,Chuck層(白亜系)とそれを覆うTetang層(下部~中部中新統),Thakkhola層(中部中新統~鮮新統),Sammargaon層(鮮新統~下部更新統)からなる. Tetang層は礫岩,砂岩,泥岩,石灰岩から構成され,下部では礫岩,上部では石灰岩が頻繁に認められた.粗粒堆積物が卓越する下部は扇状地性の堆積物,砂岩や礫岩,泥岩からなる中部は蛇行河川堆積物,石灰岩を挟む泥岩卓越層である上部は湖沼性堆積物と考えられる.それぞれの層準では特徴的な古土壌層が認められた.下部では熱帯性の酸化物に富む土壌(オキシソル),中部では塩基に乏しい森林土壌(アルティソル)や風化の弱い若い土壌(インセプティソル),上部では青灰色を示すグライ化した森林土壌,に由来する古土壌層を識別できた.また,Tetang層の化学分析の結果を行ったところ,上部層でのAl2O3の明瞭な増加が認められた. 一方,Thakkhola 層では,基質支持の礫岩,斜層理を持つ礫岩からなる最下部層,斜層理砂岩からなる下部層,斜層理砂岩・礫岩からなる中部層を観察できた.最下部は扇状地堆積物,下部は湖沼に面したデルタ堆積物,中部は蛇行河川堆積物と考えられる.これらの地層中にも古土壌層が認められ,最下部層・下部層にはグライ土壌,中部層には乾燥地帯の土壌(アリディソル)を識別した. 下部中新統から中部中新統までの古土壌解析の結果,熱帯域で形成された酸化物に富む土壌から風化の影響を受けた森林土壌,高い地下水位の影響を受けたグライ土壌に堆積場は変化し,最終的には乾燥地帯の土壌となったことが推定される.また,Tetang層試料の化学分析結果においても,成熟した土壌層の形成が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年まで続いたコロナ禍での様々な制約によって,現地調査が遅れており,野外観察に基づく地質学的データの取得が進んでいない.2022年に実施した現地調査によって当初期待した野外データは得られたものの,化学分析による検証は遅れており,全体として「やや遅れている」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度においても継続して中央ネパール・ムスタン地域の新第三系について調査を行い,調査未完了である地域での検討を進める.また,薄片観察による古土壌の記載を進め,化学分析による検証を行うことで,野外での観察事実の裏付けとなるデータを取得し,チベット高原南部での環境変遷を解明するつもりである.
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため,ネパールでの入国直後の活動抑制と日本帰国時の水際対策による海外調査日程を十分に確保できなかったことによる.2023年度において再度ネパール現地調査を実施し,計画的な経費の使用を行う.
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Research Products
(3 results)