2021 Fiscal Year Research-status Report
What is the origin of friction force depending on the sliding velocity? Approach from atomic-scale behavior in real area of contact
Project/Area Number |
20K04115
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
佐久間 博 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (20400426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 郁夫 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (10448235)
河合 研志 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20432007)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 速度・状態依存摩擦則 / 直接効果 / 熱活性化過程 / 粘土鉱物 / 摩擦 / 分子動力学計算 / 断層 / 地すべり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、断層や地滑り面の摩擦挙動を支配する物理法則の背景を、物質の性質から明らかにすることを目的とする。具体的には、すべり速度の変化に応答した摩擦力の変化(いわゆる”a”パラメータ)の起源を明らかとする。 本年度は、昨年度に開発した分子動力学(MD)計算プログラムを用いて、白雲母のせん断に関するシミュレーションを実施した。昨年度はまだ統計量が少なく、摩擦係数の誤差が大きかった。本年度は長時間MD計算を実施し、せん断速度と温度の関数として摩擦係数の系統的な変化を得ることができた。せん断速度が5桁の範囲で高速せん断の場合には温度の増加と共に”a”値が減少した。この傾向は摩擦実験で我々が予備的に得た結果と調和的であるが、実験とシミュレーションでせん断速度の絶対値に大きな差がある。一方で実験のせん断速度に近い低速せん断のシミュレーションでは、摩擦係数の温度依存性は見られなかった。この結果から、実験で見られる”a”パラメータを説明する2つの仮説を立てることができる。1.現実の真実接触部のせん断速度はみかけのせん断速度よりも大きい。これは個々の真実接触部でスティック・スリップが起きていると考える。2.高温と低温で摩擦のメカニズムが変化する。これは低温での脆性変形から、高温での塑性変形のような変化が起きていると考える。 本年度計画にあった摩擦試験は、コロナウイルス対策のため、広島大学で実験を実施することができなかった。そのため、物質・材料研究機構で来年度の実験試料の準備および実験装置の開発を行った。開発した装置で、真実接触面を予備的な観察ができつつあり、今後実施する摩擦試験と合わせて、本研究目的の達成に向けて研究を実施する。 研究成果の一部を二本の論文として国際誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルス感染対策のため、広島大学での摩擦試験を実施できなかったが、シミュレーション手法の開発と実験試料準備・装置開発が計画以上に進んでおり、全体としては、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
分子シミュレーションとこれまでの摩擦試験の結果から、検証すべき二つの仮説を立てた。今後は、これらの仮説を検証するために、シミュレーションと実験を行う。シミュレーションについては、より低速の条件で結果を得るとともに、低温と高温での摩擦挙動の変化の原因を検討する。摩擦試験については、開発中の実験装置を用いて、摩擦試験中の真実接触面積の変化を観察する。これらシミュレーションと計算を比較しながら、本研究の目的達成を目指す。
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Causes of Carryover |
世界的な半導体不足のため、入手できなかった理論計算用部品を次年度に繰り越したことと、コロナ感染予防のため、実施できなかった摩擦試験の準備用経費を次年度に繰り越した。
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Research Products
(1 results)