2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K04116
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
宮崎 一博 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 副研究部門長 (30358121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 剛 九州大学, 理学研究院, 准教授 (40243852)
遠藤 俊祐 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (60738326)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ガーネット / 反応動力学 / 三波川 / 泥質片岩 / 脱水反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
反応動力学は,地殻岩石の脱水・吸収反応の進行を支配する.動力学には,界面律速型と拡散律速型がある.岩石内の有効拡散係数を考慮すると,界面律速型動力学は流体が豊富な状態に対応し,拡散律速動力学は流体量が限られる状態に対応する.従って,岩石中の流体量変動に連動して,異なる動力学が繰り返す反応進行が予想される.本研究では,変成鉱物が卓越する反応動力学を記録することを利用する.ガーネットは,地殻内の脱水反応で生じる典型的鉱物である.沈み込み帯で形成されたガーネットを含む本年度は,三波川変成岩の地質調査と試料採集を行った.岩石学的及び地質学的研究が詳細に行われ,低変成度から高変成度の変成岩が分布する高知県本山町汗見川ルート,低変成度の変成岩が広く分布する四国西部八幡浜地域,及び九州東部佐賀関地域から試料を採取した.採取した岩石試料から,多数の岩石薄片を作成し,ガーネットの量,形態,サイズ,空間分布不均一性を検討した.岩石試料の中から,自形性の良いガーネットを多く含み,空間分が均一な試料を選び出した.さらに,ガーネット単離予定の泥質片岩中の構成鉱物の化学分析を行い,対象となる泥質片岩の形成温度圧力条件を求めた.同時に.ギブス自由エネルギー最小化法を用いた鉱物共生関係の解析も実施し,相対される温度圧力条件下で平衡に存在できるガーネットの量と組成を推定し,ガーネット単離後の反応動力学推定に向けた準備を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三波川帯泥質片岩の試料採取時期がコロナの流行により,昨年度後半にずれ込んだため,ガーネット単離作業に若干の遅れがあるが,今年度前半にはその遅れは取り戻せる予定であり,概ね順調に進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
今年前半に,三波川帯泥質片岩のガーネット単離を行い,累帯構造と粒径からガーネット形成反応の動力学の推定を行う.今年度中に,領家帯泥質変成岩の試料採集とガーネット単離を行う予定である.
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Causes of Carryover |
コロナ過により,試料採集の時期が年度後半にずれ込んだため,ガーネット単離の役務作業が本年度にずれ込んだ.本年度初めに,これを実行する予定である.
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Research Products
(1 results)