2020 Fiscal Year Research-status Report
マルチアレイ観測による深部低周波地震の発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K04118
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Research Institution | Hot Springs Research Institute of Kanagawa Prefecture |
Principal Investigator |
本多 亮 神奈川県温泉地学研究所, 研究課, 主任研究員 (80416081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 慎一 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (00251455)
長 郁夫 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (10328560)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 深部低周波地震 / 箱根火山 / 稠密地震観測 / マルチアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
箱根火山の外輪山北側付近の深さ20km付近で発生する深部低周波地震の震源決定のために、それぞれ約30点の観測点からなる稠密地震計アレイを、震源域を取り囲むように3か所構築した。箱根仙石原地区に33か所、足柄峠地区に34か所、南足柄地区に33か所の観測点候補地を選定し、土地所有者との交渉を進め、2020年11月初旬から12月にかけて観測点の設置作業を実施した。箱根仙石原地域では自治体管理の土地の他、一般の住宅敷地内にも設置が必要で、個別に訪問して設置許可を頂いた。南足柄地区については、ほとんどが林道であり、南足柄市および神奈川県など公的機関の管理地である。 2021年1月末までにすべての観測点の設置を終了することができたが、その後土地所有者などから猪やシカなどの野生動物によって観測点が壊されているとの連絡があり、現地確認を実施した。その結果、特に南足柄地区の観測点で、観測機器の移動や箱の損壊などが認められたため、地震計の再設置やデータロガーの交換などを行った。また、被害がなかった点も含めて野生動物の忌避剤の散布や柵の設置など獣害対策を実施した。 稠密アレイ観測網は火山地帯にあり、局所的な地盤の不均質が想定される。震源決定精度をあげるためには、観測点近傍での地震波速度構造が必要となることから、稠密アレイ観測網の構築に先立って候補地周辺で極小アレイによる微動観測を実施した。現在観測網ごとに直下の地震波速度構造を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス蔓延により県境を越える移動などが制限されたため、当所2020年の夏ごろに実施する予定であった観測網の構築に数か月の遅延が発生した。しかし、2020年11月に8割程度の観測点の設置を終え、2021年1月までに全点の設置が終了しており、計画を見直すほどの遅れとはなっていない。 観測網の設置後、何度かメンテナンスのために見回りを実施している。その際に、野生のイノシシやシカによる観測機器の損壊などがみられており、その都度再設置と忌避剤の散布や柵の設置など獣害対策を施した。
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Strategy for Future Research Activity |
観測点は乾電池駆動による1成分地震計によって構成される点と、バッテリ駆動による3成分地震計によって構成される点からなる。1成分地震計の観測点は約1年程度の観測が可能であるため、2021年の秋ごろに全体の乾電池の交換とデータ回収を実施する。また、3成分地震計が設置してある点については4か月程度の観測が可能であるため、4~5月と8~9月ごろに全点のバッテリ交換を行う。また、野生動物による観測点の損壊の可能性もあるため、定期的に観測点を点検しつつ交換や修理が必要となった場合には、適宜対応する。
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Causes of Carryover |
消耗品と旅費で助成金を使用する予定であったが、コロナウィルス蔓延のため現地調査の日数を制限したことと、既存の物品を使用することで消耗品の購入費を抑えることができた。今年度の未使用分については、次年度に購入する予定の消耗品費や野生動物によって破壊された観測機器の修理などに使用する。
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