2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K04121
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
市來 雅啓 東北大学, 理学研究科, 助教 (80359182)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 海洋効果 / 海岸線効果 / 離島効果 / インダクションベクトル / マントル / 電磁誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
単純な海陸分布と陸域下のマントル中にある高伝導体が存在するモデルにおいて、虚部のインダクションベクトルが海水とマントル中の高伝導体のどちらに反応するかをシミュレーションで調べた。同じモデルで実部のインダクションベクトルとも比較を行った。海底の深さは一定としている。主な成果は次の通りである。 ・2次元モデルでの海陸分布と陸域下マントルに高伝導体を与えたモデルのシミュレーションでは、虚部のインダクションベクトルは、表皮深度とほぼ連動するスケールで海水とマントルの高伝導体の方向を指すことが分かった。実部のインダクションベクトルは表皮深度に関係なく長周期まで海洋の方向を指すことを確認した。 ・単純な3次元モデルである長方形の離島を模した海陸分布でのシミュレーションでは、虚部のインダクションベクトルは表皮深度が海水を無視できるような長周期では、むしろ離島の中心を指すような放射パターンが得られ、中間程度の周期帯では離島の海岸線付近で海岸線を避けるようなパターンを示し、短周期付近では海洋の方を指す放射パターンを示した。実部のインダクションベクトルは海洋の方を指す放射パターンが一貫して得られた。 ・東北地方で得られているインダクションベクトルの特徴は虚部と実部のインダクションベクトルが約90°異なる方向を向いていることだが、この傾向を示唆する結果は上記のシミュレーションから得られていない。しかし、虚部のインダクションベクトルが地球内部の高伝導体を示唆しているという作業仮説を支持する結果は得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目的である、虚部のインダクションベクトルが海水よりも陸域下の地球内部の高伝導体を反映しているかを検証することができた。 別の研究者らによる新しい検証内容が発表されたので、来年度はそのモデル計算も行う。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目については下記の仮説を検証する。 ・深度の異なる海底のインダクションベクトルへの影響を考慮する。東北地方は太平洋側に日本海溝があるが、日本海側は日本海溝に比較すると海底は浅い。この影響で虚部と実部のインダクションベクトルが直交する原因の一部を説明できるか考える。 ・2020年度に海水の深度に比例して海水の電気伝導度が異なることがインダクションベクトルに影響するのではないかという論文が発表された。本研究の仮説は、虚部のインダクションベクトルの特徴の原因をマントルに求めているが、海洋深部の電気伝導度の違いが与える影響についても考察する。 ・本研究は差分法による3次元比抵抗モデリングコードを用いているが、アダプティブメッシュと4面体要素による有限要素法の3次元比抵抗モデリングコードが開発され、海底地形や海岸線をほぼ現実に近い形でモデルに組み込めることが可能になった。このコードを用いて、現実に近い海陸分布・海岸線・海底地形、且つ均質な海洋・陸域の比抵抗で虚部と実部のインダクションベクトルの振る舞いがどの程度異なるかも検証する。
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