2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K04121
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
市來 雅啓 東北大学, 理学研究科, 助教 (80359182)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | インダクションベクトル / 海洋効果 / 海岸線効果 / 海峡効果 / 電磁誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
東北・北海道を含む実際の海底地形と海岸線を4面体要素で離散化した有限要素法のシミュレーションによって虚部のインダクションベクトルの振る舞いを明らかにした。主な成果は次の通りである。 ・海岸線効果および海峡効果と海洋効果(海底地形効果)を区別する為、海底深度を500 m, 1500 m, 3000 mそれぞれ一定にして海岸線を考慮したモデルと、実際の海底地形も考慮したモデルとでシミュレーション比較を行った。海底深度を一定にして、海岸線効果のみを考慮したシミュレーションでは、虚部のインダクションベクトルは、長周期において日本海沿岸、太平洋沿岸で東西方向の内陸を向く対称的パターン、短周期付近で海側を向く放射パターンを示した。津軽海峡の海峡効果はあまり明瞭でなかった。この結果は、昨年の差分法で明らかにした単純な長方形の離島モデルと調和的であった。海底の深さは、ベクトルの方向はほぼ同じで、振幅を定数倍にする線形効果のみであった。 ・海岸線と海底地形を考慮したシミュレーションでは、一部の長周期帯において、東北地方の太平洋側で虚部のベクトルが非常に小さくなり、非対称的パターンを示す結果になった。日本海溝の影響は、地球内部が均一ならば太平洋沿岸の虚部インダクションベクトルを殆ど0にする影響を及ぼすことが新たに分かった。 ・研究テーマの出発点である東北地方北部のほぼ全域の虚部インダクションベクトルが、長周期側で北側を向く傾向は、海洋効果、海岸線効果、海峡効果いずれでも説明不可能であることが明らかになった。昨年新たに採用した推進方策である、4面体要素による有限要素法のシミュレーションを実装することで、この結論に早く到達できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
虚部インダクションベクトルの性質を明らかにすることに加え、四面体要素の有限要素法シミュレーションにより、海洋効果や海岸線効果を精緻に計算することができ、目的であった東北地方の虚部インダクションベクトルが地球内部の影響であることを確認でき、ほぼ計画通りに研究は進捗している。
|
Strategy for Future Research Activity |
・新しく実装した四面体要素による有限要素法のシミュレーションにより地球内部の比抵抗異常をフォワードモデル的に求める。この他、逆問題によるモデルも試しに計算し、それらのモデルを比較することで、逆問題で推定されないモデルの提案を試みる。 ・昨年の推進方策に記した海水の深度による比抵抗の違いの影響今年度検証できなかったので、海水データの深度による比抵抗データ(XCTDデータ)を利用しながら来年度検証を行う。
|
Causes of Carryover |
今年度は中間結果をアメリカ地球物理学連合秋季大会で報告する計画であったが、開催地がニューオーリンズで新型コロナ感染が拡大中且つ接種率が低い地域であった為、参加を見送った。来年度のシカゴで開催される同大会に参加・報告して使用する予定である。
|