2020 Fiscal Year Research-status Report
An overview of the Miocene tectonics in the Southwest Japan Arc from radiometric dating
Project/Area Number |
20K04136
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
新正 裕尚 東京経済大学, 全学共通教育センター, 教授 (60312013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 岳史 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10251612)
折橋 裕二 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (70313046)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中新世 / 火成活動 / U-Pb年代 / 日本海拡大 / 沖縄トラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
感染症の拡がりをうけて,計画していた野外調査については,そのほとんどを延期せざるを得ず,瀬戸内火山岩類の一部の試料採取のみにとどまった.そこで今年度については,これまでに採取した試料の分析と成果公表を進めた. まず,弘前大学の施設を利用した蛍光X線分析による全岩化学分析を実施した.主な対象は瀬戸内火山岩類の安山岩~玄武岩,九州西部の甑島,天草の中新世火成岩,愛知県三河地域の苦鉄質火山岩である.瀬戸内火山岩についてはいくつかの産地の玄武岩のデータを得て,今後高マグネシウム安山岩とペアで地球化学データを求めるための試料の選別を行っている.天草の中新世火成岩については,全岩化学組成と岩石記載に基づき選別した試料についてジルコンU-Pb年代測定のための鉱物分離や試料作成を終えた.愛知県三河地域の苦鉄質火山岩については,分析結果に基づき追加の試料採取を計画している.甑島の中新世火成岩については,全岩組成データとこれまで実施したジルコンU-Pb年代分析結果に基づき,1000万年前頃の沖縄トラフ拡大初期に関連付けられる可能性があることを論じた論文をIsland Arc誌に公開した. また,四国~紀伊半島の海溝寄り地域の中新世苦鉄質火成岩について,これまで実施したジルコンU-Pb法または40Ar/39Ar法による放射年代測定結果を伴う試料について共同研究者に依頼してSr-Nd-Pb同位体組成を分析した.それらの結果から,1200万年前頃の前弧域でのアルカリ玄武岩の活動や1500万年前頃の瀬戸内火山岩とは性質の異なる苦鉄質火成活動の実体が明らかになりつつある.これらの結果は現在学術論文として投稿準備中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症の拡がりをうけて,野外調査をほとんど実施できなかったため,過去に採取した試料を中心とした分析の実施にとどまったため.
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Strategy for Future Research Activity |
愛知県三河地域の中新世苦鉄質火山岩については,全岩組成のパイロット分析の結果から西南日本回転前後の島弧火成活動を記録している可能性が示唆されるので,さらに全岩分析,年代測定用の試料採取を急ぐ.甑島~天草の九州西部中新世火成岩はこれまでの研究結果から日本海拡大期から沖縄トラフ拡大期にまたがる火成活動が見られる可能性が示された.採取した試料の年代測定を進め,必要な追加調査を行う. 野外調査については,社会情勢を見つつ安全に注意を払いつつ着実に実施したい.野外調査の実施に引き続き困難が伴う場合は,過去に採取した試料の年代測定をすすめ,その結果に基づいて,追加調査の必要な地域を絞り込みたい.
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Causes of Carryover |
感染症の拡大状況を受けて,予定していた野外調査がほぼ実施できず,また学会発表等の出張も行わなかったので,国内旅費として計画していた費用が次年度使用となった.関連して採取試料の鉱物分離等の委託費用についても予定よりは支出が少なかった.2年目以降は野外調査を安全に注意しつつ着実に実施するとともに,主に年代測定に関わる費用に使用する.
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