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2022 Fiscal Year Research-status Report

「地震=断層運動」からの脱却:新手法による微小な非せん断破壊成分推定の試み

Research Project

Project/Area Number 20K04141
Research InstitutionNational Institute of Advanced Industrial Science and Technology

Principal Investigator

今西 和俊  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 副研究部門長 (70356517)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords非せん断破壊 / 逐次相対法 / 臨時観測
Outline of Annual Research Achievements

本研究は地震破壊に含まれる微小な非せん断破壊成分を十分な精度で推定する手法を開発し、多くの実データへの適用を通して非せん断破壊の推定を行い、これまで踏み込むことができなかった微視的な地殻プロセスの実態に迫ることを目的にしている。
今年度は、昨年度の予備解析でダブルカップルで説明することが困難な地震が含まれていることを確認した東広島市直下の下部地殻地震クラスターに着目した。解析対象としたのは、2004年以降に発生したM1.5以上の地震(約70イベント)である。これらのクラスターに、本研究で開発した逐次相対モーメントテンソル法(論文準備中)を適用した。この手法について改めて触れておくと、クラスター内の地震に相対モーメントテンソル法(Dahm, 1996)を繰り返し適用し、個々の地震のモーメントテンソル解の精度を上げるのと同時に地震間の相対精度も上げていく方法である。参照とする地震のモーメントテンソル解の精度が悪いと信頼性の高い結果が得られないという相対法の本質的な問題点を解決している。逐次相対法を適用した結果を見ると、この地域の上部地殻で発生する地震を代表する東西圧縮の横ずれ型が卓越しているわけではなく、様々な断層タイプの地震が発生していることがわかった。このような小さな領域内でメカニズム解が大きく変化するのは珍しく、高間隙水圧により様々な姿勢の既存クラックが破壊する状況になっている可能性がある。また、推定誤差を有意に超える微小な非ダブルカップル成分が含まれていることも明らかになった。非ダブルカップル成分の空間分布にはあまり特徴が見られないが、クラックの開口成分が卓越する時期と閉口成分が卓越する時期が4-5年周期で繰り返す時間変化が確認できた。以上の推定結果から、クラスター内に流体が周期的に注入され、これが深部クラスターを引き起こす要因になっている可能性がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究で開発した逐次相対法を実データに適用し、微小ながらも、推定誤差を有意に超える非ダブルカップル成分の存在を明らかにしつつある。また、昨年度開始した伊豆半島東部における臨時観測に関しては、4か月に1回程度の頻度でデータ回収と保守作業を実施した。解析とデータ蓄積に時間を要したため、論文化が遅れている。

Strategy for Future Research Activity

開発した逐次相対法を欧文誌に取り纏めるとともに、解析プログラムを公開する。具体的な適用事例は、臨時観測を行っている伊豆半島東部における地震活動と東広島市直下の下部地殻地震クラスターである。これらの結果を通して、地殻内地震における非せん断破壊の実態とそれが意味する背後の物理機構を取りまとめる。

Causes of Carryover

昨年度は新型コロナウィルス感染症の状況も改善してきたが、安全を重視したため、当初予定よりも臨時観測点のデータ回収・保守作業の頻度が少なくなった。その結果、バッテリー切れにより、データ欠測が一部生じてしまい、十分なデータ蓄積に至らなかった。今年度はデータ回収の頻度を上げて、欠測せずにデータ蓄積を行う。予算は、そのための旅費として使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 地震のせん断破壊成分推定の試み2023

    • Author(s)
      今西和俊
    • Organizer
      SF地震学ミニ研究集会
  • [Presentation] 下部地殻微小地震の発生メカニズム:広島県西部直下の深部クラスター活動の事例2023

    • Author(s)
      今西和俊・内出崇彦
    • Organizer
      Japan Geoscience Union Meeting 2023

URL: 

Published: 2023-12-25  

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