2022 Fiscal Year Annual Research Report
熱活性過程で理解する水素環境下疲労き裂進展加速メカニズム
Project/Area Number |
20K04161
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高桑 脩 九州大学, 工学研究院, 准教授 (60633518)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水素脆化 / 疲労き裂進展 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで多種多様な議論が離散してなされてきたBCC鉄鋼材料の水素助長疲労き裂進展加速現象(HAFCG: Hydrogen-assisted fatigue crack growth)を、最重要因子である「水素環境因子」、き裂先端の「力学因子」ならびに、き裂先端の「転位-水素間相互作用(熱活性過程)」に焦点を当て、包括的に説明できるき裂進展加速モデルを確立するため、応力拡大係数範囲制御下において種々の水素ガス圧力(0.7MPa-10MPa)、水素ガス温度(室温-150℃)下にて負荷周波数(0.01-1Hz)を変化させて疲労き裂進展特性を評価した。これまで、高い温度、低い負荷周波数であるほどHAFCGが緩和される結果を得た。最終年度である2022年度は、得られたマクロ現象を深掘りするために、各種電子顕微鏡観察によるき裂先端の変形組織解析に加え、き裂先端の転位―水素捕捉率を時間の関数として定義・算出し、すべての実験データを矛盾なく説明できるモデルを構築した.BCC格子間水素占有率と平衡するトラップサイト(転位芯)占有率に基づき、平衡占有率に対して、脱離過程の理論式を組み込み、時間の概念を与えて転位-水素捕捉率を算出した。HAFCGが顕在化する室温、負荷周波数1Hzが最も転位-水素捕捉率が高く、緩和される150℃、0.01Hzで最も低くなり、HAFCGの加速―緩和遷移領域においても理論式と実験値が矛盾なく整合することを明らかにした。転位-水素捕捉率をもとに、転位芯周辺の局所水素濃度を見積り、転位運動に対する水素雰囲気の抵抗(温度・負荷周波数により変化)からHAFCGを説明できることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)