2021 Fiscal Year Research-status Report
異なる2種の材料試験を利用した高効率なゴムの大変形応力緩和試験法の開発
Project/Area Number |
20K04162
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
藤川 正毅 琉球大学, 工学部, 准教授 (70549047)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 応力緩和 / 工業用ゴム材料 / 粘弾性 / 分数階微分モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
工業用ゴム材料は工業製品の様々な部位・場所で利用されており,その性能や強度を保証するためにはゴムの力学特性の解明が重要である.ゴムの大変形の応力緩和現象(変形を保持し続けた時の応力の軟化現象(relax))は,数日から数年単位以上をかけて進行することが知られており,この力学特性の効率的な計測方法の開発が課題である.本研究では、「動的粘弾性試験」と「短時間の応力緩和試験」の結果から,「長時間後の応力緩和試験の応力応答を予測」する新しい計測法を開発する.また本法の有効性と汎用性を体系的に確認する目的で,充てん量の異なるカーボンブラック充てんSRB(以下CB)とシリカ充てんSBR(以下Si)による様々なひずみレベルの応力緩和試験を実地する(ここではその取り組みとして,以下の2種を用意している:①数時間から数日後の応力緩和の計測と予測結果の比較,②超長時間(数か月単位)後の応力緩和の計測と予測結果の比較).そして最後に,従来法では計測が困難であった“応力緩和が終了する定常状態におけるゴムの応力-ひずみ関係”を始めて提示することを目的としている. 今年度までの成果により,CBとSi材料における幾つかのひずみレベル(~75%ひずみ)における応力緩和試験を実地した.得られた計測結果を対象として本法の有効性を確認したところ,良好な予測結果が得られることを確認した.つまり,1~2分程度の短時間のrelax-試験の結果から,数時間~2日後程度のrelax-試験の結果を予測可能であることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CBとSiについて①の試験(数時間から数日後の応力緩和の計測と予測結果の比較)による本法の有用性を確認できた.特に,「長時間のrelax-試験」を予測するのに使用する「短時間のrelax-試験」の試験時間(前回までは1~2分と設定:今回は段階的に1~20分の範囲で設定)を変更しても予測結果は概ね一致することが確認された.この結果は本法の安定性を示すものである.一方で,②の試験(超長時間(数か月単位)後の応力緩和の計測と予測結果の比較)については現状で課題が残る.数日をまたぐ応力緩和試験では,外気温度の変動がゴムの応力緩和試験の結果に擾乱等の影響を与えることが確認されている.また,実験の環境構築に時間を要したため,結果を得るまでに時間がかかった.そのため,論文投稿や公表に関しては若干の遅れが生じている. 以上をまとめると,一部で問題は生じているものの,本法の予測精度は良好でまた安定していることが確認できた.このことから,予定していた課題の遂行は概ね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
去年度までの成果をまとめて,論文投稿,学会発表もしくは講演会等で研究成果を講演する.また同時に,②の計測方法の確立を行う(温度や湿度のコントロール下による超長時間の応力緩和試験の実地).
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