2020 Fiscal Year Research-status Report
Simulation of impregnation of CFRP with curved fiber orientation and establishment of fiber orientation analysis method
Project/Area Number |
20K04166
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
小山 昌志 明星大学, 理工学部, 准教授 (00453829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 浩司 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部多摩テクノプラザ複合素材開発セクター, 副主任研究員 (20560163)
窪寺 健吾 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部多摩テクノプラザ複合素材開発セクター, 主任研究員 (40463004)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 炭素繊維プラスチック / 繊維製織技術 / フライホイール / 樹脂含浸シミュレート |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度、本研究で周速2000m/secの高速回転を可能とするCFRP製フライホイールの実現のための有限要素法を用いた応力解析をもとに炭素繊維の特性を最大限活かした繊維配向手法の最適条件を導くことが可能な設計技術の確立に向け、FEM解析を用い円板型形状の直交異方性材料において繊維配向角度が円板内部に及ぼす影響を明らかにするために、基礎検討として円板の一部分を模擬した、2方向強化CFRP積層材による簡易モデルにより繊維配向角度が材料特性に与える影響を定量的に評価した。評価の結果から、回転速度向上の実現が可能なr方向の湾曲角度の範囲を特定し、3次元製織に向けた設計指針を明確にした。この基礎検討を元に、円盤型解析モデルの作成を行い、繊維の部分的な湾曲を模擬して、円盤内部において円中心付近、円盤中央付近、円外周付近の3パーツに分け、パーツごとに異なる特性値を与え応力解析を実施した。現在、円盤型解析については、不十分な点もあり、令和3年度前半に本解析を用いて高速回転に有効な繊維配向角度の設計指針を確立する予定である。本解析手法は、円盤形状のみならず構造における発生応力に対して任意の繊維配向性を持たせたCFRP構造体の設計への展開が可能な手法である。また、令和3年度に実施予定としていた3次元製織技術の確立に向けた、新規製織技術の提案、基礎検討により、湾曲繊維配向を有する繊維織物の製織試作を実施した。同時に、樹脂含浸シミュレーション手法確立に向けて、直線状繊維に対する実験的、解析的な検証を行い、簡易な形状での含浸シミュレーション手法の妥当性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初令和2年度において、R方向繊維の曲がりを考慮した最適繊維配向分布の解析的手法の明確化を計画していた。その中で、従来の直線的繊維による3次元繊維配向で生じていした問題である、θ方向応力、およびR方向応力の部分的なばらつきを繊維配向性の制御により抑制を目指した。その中で、任意の繊維湾曲により発生応力を広範囲にわたって材料特性に近づけるための最適な湾曲角度の設計指針を確立に向けて、基礎的な検討である2方向強化CFRP積層材による簡易モデルにより繊維配向角度が材料特性に与える影響についてFEMを用いて明らかにした。本解析による結果で得られた材料特性に影響を与える繊維角度を考慮した円盤型モデルに対する解析のモデル作成及び基礎的な応力解析は完了した。 しかしながら、予定していた湾曲繊維を考慮した円板モデルにおける円板から中心から外周部までの各位置における応力、ひずみ状態の相関性の明確化までは至らず、令和3年度前半での完了に向けて、現在進めている。 一方で、令和3年度に実施予定である3次元製織技術については、令和2年度に基礎検討および試作作製が進んでいる。また、樹脂含浸シミュレータ技術に関しても、令和2年度に、直線的な簡易モデルを用いて実験的な検証を含めて含浸シミュレーションの基礎検討が完了しており、この点は進捗状況として進んでいる点である。それを踏まえ、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に、予定をしていたR方向繊維の曲がりを考慮した最適繊維配向分布の解析的手法の明確化において、未到達であった湾曲繊維を考慮した円板モデルにおける円板から中心から外周部までの各位置における応力、ひずみ状態の相関性の明確化を行い、3次元製織において回転速度向上に対して有効な繊維配向角度の決定をおこなう。 また、本結果をもとに、当初令和3年度に計画する3次元製織における製織技術として可能な繊維配向角度を実験的に検証し、成形実現可能な繊維配向角度を有する3次元炭素繊維織物の製織技術を確立する。また、同時炭素繊維織物のFRP化の際に課題となる樹脂の含浸流動による繊維乱れ、樹脂未含浸部における空孔などの課題に対して有効となる樹脂含浸シミュレーション手法の確立をする。本シミュレーションにより、繊維乱れの要因の明確化および含浸不良の抑制を可能とする樹脂含浸時の樹脂流動経路の設計指針を確立する。この確立に向けて、炭素繊維織物に樹脂を含浸、硬化させる工程での、繊維の配向状態と樹脂の含浸状態の関係をデジタルマイクロスコープによる可視画像、および赤外線サーモグラフィ等による温度画像を用いたリアルタイムでの実験的に含浸挙動の解析を定量的に行うとともに、いまだ未解明な含浸係数などの樹脂含浸パラメータを定量的に調査し、樹脂含浸シミュレーションを行う。
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Causes of Carryover |
当初試験片作製および実験的な検証の準備の実施を予定していたが、コロナの影響により、実作業ベースの研究の実施が不明瞭になったため、令和3年に実施計画をしていた樹脂流動シミュレーションの導入を前倒しし、その一方で実験で使用する材料、および消耗品の購入、実験に必要となる機器等の購入を後ろ倒しにしたことが使用額の差分につながった理由である。令和3年度は、樹脂流動シミュレーションソフトおよび材料、消耗品に助成金を当て、令和4年度に向けて実験的な基礎検討および研究準備をすすめていく。
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