2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Creation Principle of Collagen/Hydroxyapatite Artificial Bone with Optimized Microstructures
Project/Area Number |
20K04167
|
Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 基嗣 金沢工業大学, 工学部, 教授 (30346085)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 人工骨 / コラーゲン / ハイドロキシアパタイト / 微視構造最適化 / 微小力学試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,コラーゲン分子とアパタイト結晶を用いてボトムアップ式に創製した骨単位の力学特性を最大限に発揮できる微視構造因子とその力学特性発現メカニズムを明らかにするとともに,最終的には最適微視構造をもつ骨単位の設計・実現手法を確立することを目的とした.一年目は,構成要素の応力-ひずみ関係を取得可能な微小力学試験システムを設計・製作し,設計したシステムを用いて,微視構造因子が構成要素の応力-ひずみ関係に及ぼす影響についてボトムアップ式・パラメータスタディ的に評価する予定であった.しかし,予備検討により構築していたハイドロキシアパタイト/コラーゲン複合線維の束化について,再現性が低いことが明らかとなり,この点について検討を加えることとした.その成果は,以下のように要約される. 1)泳動槽に電極をセットした装置を用いて,架橋剤濃度5 mmol/Lのコラーゲン線維を電気泳動にかけた.泳動時間を60 minとした場合,コラーゲン線維はランダムな方向を向いた.これに対して,泳動時間を30 minとした場合,一方向にコラーゲン線維が並んだ.したがって,適切な泳動時間が存在することがわかった. 2)電気泳動により束化したコラーゲン線維(コラーゲン線維束)について,引張試験をおこなった.その結果,同じ条件で作成したコラーゲン線維単体の引張強度が約2.3 MPaであったのに対し,コラーゲン線維束の引張強度は約0.8 MPaとなった. 3)コラーゲン線維が束化によって引張強度低下を発現した原因として,設定電流が高すぎたことによるコラーゲン線維の損傷,電気泳動によるα鎖の損傷,束に含まれる弱い線維の強度が支配因子となること,が考えられた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本来は,構成要素の応力-ひずみ関係を取得可能な微小力学試験システムを設計・製作し,設計したシステムを用いて,微視構造因子が構成要素の応力-ひずみ関係に及ぼす影響についてボトムアップ式・パラメータスタディ的に評価する予定であった.しかしながら,予備検討により構築していたハイドロキシアパタイト/コラーゲン複合線維の束化について,再現性が低いことが明らかとなり,この点について検討を加える必要が生じた.このため,パラメータスタディに入る直前の段階で一年目が終了したため,「遅れている」と言える.このような遅れが発生した第一の理由として,予備検討により構築していたハイドロキシアパタイト/コラーゲン複合線維の束化について,再現性が低いことが明らかとなり,この点について検討を加えることとしたことが挙られる.また,第二の理由として,新型コロナウィルス流行の状況のため,研究時間が限定されたことが挙げられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
まず,予備検討により構築してきた微小要素の応力計測装置にピエゾアクチュエータ駆動を組み合せて顕微鏡に組み込んだシステムを設計・作製し,画像相関法によるひずみ評価を組み合わせることによって,微小な構成要素の応力-ひずみ関係の計測を可能とする.カンチレバー型可動部位にコラーゲン単線維などの構成要素を保持し,カンチレバーたわみ量から荷重を導出する.この微小力学試験システムを用いて,コラーゲン単線維およびコラーゲン/ハイドロキシアパタイト複合線維の応力-ひずみ関係に及ぼす線維化・架橋状態,析出アパタイト結晶サイズ・量・均一性,複合線維束化に必要な接着タンパク量などの微視構造因子の影響を,ボトムアップ式かつパラメータスタディ的に明らかにする.
|
Causes of Carryover |
パラメータスタディに入る前にコラーゲン複合線維の束化方法について再検討を加える必要が生じたため,本来一年目に予定していた微小要素の応力計測装置へのピエゾアクチュエータ駆動を組み合せたシステムの設計・作製が二年目にずれ込んだことと,新型コロナウィルス流行のために出張がおこなえなくなったことが,次年度使用額が生じた理由である.二年目は,主に,ペンディングとなっていた微小な構成要素の応力-ひずみ関係の計測な微小力学試験システムの構築のために研究費を使用する予定である.
|