2022 Fiscal Year Research-status Report
大地震を模擬した高速ひずみ速度の極低サイクル繰り返し変形による疲労損傷の解明
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20K04170
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
長島 伸夫 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 主幹研究員 (30354252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉中 奎貴 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 主任研究員 (00825341)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 極低サイクル / 鉄系形状記憶合金 / フラクトグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
FMS合金について、径ひずみにおける全ひずみ振幅5%条件について、0.005、0.25、1.25%/sec の3条件でひずみ制御による極低サイクル疲労試験を実施した。その結果、破断寿命は、0.005%/secの試験では61回、0.25%/secの試験では41回、1.25%/secの試験では25回で破断し、試験速度が速いほど短寿命となった。また、疲労試験中の試験温度は、0.005%/secの試験では25℃一定、0.25%/secの試験では約30℃一定、1.25%/secの試験では試験中に温度が上昇し、10回で60℃を超え、最大70℃になり、試験速度が速いほど試験温度が上がった。 疲労破面観察によるフラクトグラフィ的検討の結果、0.005%/secの試験では起点部と亀裂進展部においてファセットと二次亀裂が観察され、最終破断部はディンプルに加え、ファセットが混じっていた。一方、試験速度の速い1.25%/secの試験では起点部及き裂進展部にはファセットはほとんど見られず、全体的に丸みを帯びた様相であった。検討の結果、0.005%/secの試験では破面は全面ほぼεマルテンサイトであり、本材料の設計指針である可逆変形が生じたため長寿命となったと考えられた。一方、1.25%/secの試験では破面はほぼ母材組織のγオーステナイトのままであり、一部双晶変形がみられたことから、可逆変形が生じていないため、短寿命となったと考えられた。
しかし、一般鋼のSUS316 の同条件での疲労寿命が6回程度であるのに比べ、きわめて疲労寿命が長いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の検討により、これまでの知見がほぼ証明された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は試験温度と極低サイクル試験について検討していく。 また、試験片起点部近傍の断面切断を実施し、断面組織について検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ渦により実験が滞った。予算は試験片加工、学会参加費、旅費に充てる。
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