2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K04172
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
脇 裕之 岩手大学, 理工学部, 教授 (30324825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 寛太 岩手大学, 理工学部, 助教 (50823879)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 構造・機能材料 / 遮熱コーティング / 残留応力 / 弾性係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
セラミックス皮膜はガスタービンなどの高温部品で不可欠であり,プラズマ溶射で施工されている.プラズマジェットによりセラミックスを半溶融状態とし,下地に衝突させ皮膜が形成される.この過酷な粒子積層環境中において,セラミックス皮膜の応力履歴を正確に評価することが困難であり,残留応力の発生機構の解明が重要な課題となっている. 本研究では,主に以下の3つの研究を実施する.(1)応力計算に不可欠な,粒子積層過程中の皮膜の弾性係数履歴を把握する.(2)粒子積層過程中の試験片の曲率履歴の計測によって,皮膜の応力履歴を評価する.(3)プラズマ溶射条件をパラメータとした実験により,粒子積層過程中の応力発生機構の解明を目指す. 本年度(2年目)の研究成果は,次の2つに大別できる.(1)プラズマ溶射過程中の弾性係数履歴の把握のため,YSZセラミックスの完成膜について,逐次表面除去と共振周波数計測を組み合わせて弾性係数の膜厚依存を評価した.1年目の研究を深め,数種類の材質の皮膜の検証実験により,皮膜の弾性係数の膜厚依存は界面近傍の微小領域に限られることを把握し,その原因は残留応力であると分かった.(2)1年目に構築した,試験片の曲率に基づく応力履歴解析モデル(中間層を有する3層モデル)を用いて,アルミナおよびYSZの応力形成履歴を評価した.皮膜の線膨張係数の大きさによって,堆積(積層)応力と冷却熱応力の大きさの相対関係が変わることが分かった.このことから,堆積応力は粒子の急冷引張応力が支配的であり,冷却熱応力は基材との線膨張係数差が原因であることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目は,(1) 成膜過程中の皮膜の弾性係数履歴の把握,(2) 成膜過程中の皮膜の応力履歴評価の研究,を同時並行で進めており,当初計画のとおりである.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画のとおり,1,2年目に(1)成膜過程中の皮膜の弾性係数履歴の把握,(2)成膜過程中の皮膜の応力履歴評価の研究を同時並行で進めている.3年目に(3)皮膜の応力発生機構について研究する.プロセス条件をパラメータに,堆積(積層)応力と冷却熱応力を分離し,それぞれが残留応力に与える影響を検討する予定である.また,粒子積層中に過渡的に発生する応力履歴についても研究する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額は,当初予算の約5%でありほぼ計画どおりに使用している. 令和4年度も当初の計画通りに使用する.
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Research Products
(5 results)