2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a hydrogen-resistant austenitic steel
Project/Area Number |
20K04178
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
マカドレ アルノー 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (20635891)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水素脆化 / 鉄鋼材料 / オーステナイト / 相変態 / 窒素添加 / 組織微細化 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年には、準安定オーステナイト系ステンレス鋼SUS304の水素適合性に及ぼす添加窒素量の影響を把握した。窒素添加のみにおいて、0.25mass%以上の窒素量を添加することにより、化学成分に関する水素適合性の基準(ニッケル当量)を満たした。ただし、機械特性に対する水素適合性基準(比絞り率)、0.25mass%窒素のみで水素適合性を得ることが可能であり、0.36mass%および0.44mass%窒素を添加したSUS304においては水素適合性が低下していた。特に、添加窒素量が増加することにより、比絞り率で評価する水素適合性は低下していく一方である。 準安定オーステナイト系ステンレス鋼SUS304は基本的にどんな水素適合性基準を満たさない。本研究において、その理由として、水素暴露したSUS304にはひずみ誘起マルテンサイト変態が起こり、マルテンサイト相中に水素促進破壊が起こり、SUS304の破断に繋がることが分かった(以前は、オーステナイト相とマルテンサイト相の界面が水素により剥離していたと考えられていた)。 本研究では、窒素添加のみで、マルテンサイト変態を抑え、より水素適合性を改善したが、窒素による平面すべりの促進が起こり、0.25mass%窒素添加のみで水素適合性を得られ、それ以上の添加窒素量において、水素適合性が0.25mass%窒素添加材より低くなった。 一方、水素適合性の低くなった0.36mass%窒素添加材への組織微細化処理(冷間圧延+再結晶処理)の実施により、水素適合性の高いSUS316Lに近い水素適合性を得られた。 本研究において、準安定オーステナイト系ステンレス鋼SUS304を0.36mass%と組織微細化(結晶粒径=15μm程度)を組み合わせ、水素設備に推薦されている安定オーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lに近い水素適合性を初めて達成し、強度も得られた。
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