2020 Fiscal Year Research-status Report
外場によるイオンマイグレーションの能動制御と機能性複合材料の革新的創製
Project/Area Number |
20K04183
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
李 渊 東北学院大学, 工学部, 准教授 (50625001)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 康裕 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70803740)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 機械材料・材料力学 / イオンマイグレーション / 複合材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は計画した研究を遂行し、以下の研究実績が得られた。 (1)磁場におけるイオンマイグレーション(IM)挙動の解明 絶縁セル両側に永久磁場を配置することにより簡易的に磁場を付与したうえに、直流電圧印加実験を行った。実験中に両電極間における電流の経時変化をモニタリングするとともに、IMの進展状況をその場観察することにより、磁場がIM挙動に与える影響を調査した。磁場が付与されていない場合に比較した結果、電流の低下が見られる一方、陰極側の析出開始が早くなるとともに、析出物の成長も速くなることがわかった。これはローレンツ力の付加作用が起因したと考えられる。 (2)温度傾斜場がIMに与える影響の解明 まず絶縁セル内に設置されている両電極に温度制御ユニット(セラミックスヒーター等)をそれぞれ導入することにより、独自的な実験系を設計、構築し、温度傾斜場を意図的に作りだした。次に上記と同様に直流電圧印加実験を行い、温度傾斜場がIM挙動に与える影響を調査した。その結果、IMにおける金属イオン溶解・移動・析出の一連の過程が加速される可能性があることが判明された。またパターン付きのマスクを用いて、異なるデザインを設計することにより金属イオンの移動経路を誘導することに工夫したうえに、印加電圧を変動させ、絶縁基板表面における析出物の位置制御に挑戦した。その結果、デンドライト状の析出物がパターン通りに形成されることが見られた。これより金属微細材料の生成位置を制御することを実現させた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載の通り、申請時に計画した研究を遂行し、外場である磁場と温度傾斜場を付与する方法を工夫したうえに、外場がIMに与える影響を明らかにしている。また金属イオンの移動経路を設計することにより微細材料の生成位置を制御できる可能性を見出し、進展は順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度の結果に基づき、外場の分布を意図的に調製し、IMの能動的制御を実現させる指針を考案する。またIMの簡易可視化システムを構築し、その妥当性を検証する。さらに考案した指針を用いて、適切に外場を付与することによりIMを誘発させ、高分子複合材料の新規創製を図る。
|
Causes of Carryover |
コロナの影響で、旅費が使えなかったため、次年度の物品費として使用する予定である。
|