2021 Fiscal Year Research-status Report
Initiation of kink-band failure of a unidirectional CFRP due to microscale fiber undulation
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20K04184
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
上田 政人 日本大学, 理工学部, 准教授 (80434116)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | キンクバンド破壊 / 繊維うねり / デジタルツイン |
Outline of Annual Research Achievements |
一方向炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の繊維方向圧縮破壊(キンクバンド破壊)の発生メカニズムを究明して,圧縮強度を向上させる方策を得ることを目的としている. 一方向CFRPの圧縮破壊に関する数値シミュレーションでは,これまでに一様な繊維うねりまたは一定の初期不整角を有する現実とは異なるモデルが用いられてきた.このモデルではキンクバンドが発生する領域が事前に決定されるため,キンクバンド破壊の発生メカニズムを明らかにすることが難しい.そこで今年度は,X線コンピュータ断層(CT)撮影装置を用いてCFRPの断層画像を取得して,各繊維のうねりを求めた.これにより実際の繊維の揺らぎを再現した一方向CFRPの3次元モデル(一方向CFRPのデジタルツイン)を構築して,有限要素法により圧縮強度を求める数値シミュレーションを実施した. なお,一方向CFRPの強化材である炭素繊維と母材であるエポキシ樹脂とでX線吸収率が近いため,断層画像において炭素繊維と母材とを区別するには撮影試料を小さくする必要がある.そこで,小さな一方向CFRP試験片を準備して,その圧縮試験を実施した.圧縮試験はX線CT装置内で行った.この一方向CFRPの圧縮破壊モードは一般的な寸法の一方向CFRPの破壊モードと同じキンクバンド破壊であることを確認した. この実験に用いた一方向CFRPのX線CT画像から,数値シミュレーション用の3次元モデルを構築し,圧縮強度を求めた結果,実験による圧縮強度と良く一致することが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究目標としては,繊維うねりをランダムと仮定した数値シミュレーションにより,圧縮破壊の起点となる領域を予測する感度解析手法を構築して,圧縮破壊の起点に与える影響の大きい因子を定量的に明らかにすることであった.この目標に対して十分な成果が得られている. 今年度の研究目標としては,X線CT装置を用いて一方向CFRPの断層画像を取得し,各繊維のうねりを再現した一方向CFRPの3次元モデル(デジタルツイン)を構築し,その数値シミュレーションにより圧縮強度を予測することであった.数値シミュレーションから得られた圧縮強度は,実験により得られた圧縮強度とほぼ一致することが示された. 以上より,目標に対して十分な成果が得られており,進捗状況は順調であると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に実施した一方向CFRPの3次元モデル(デジタルツイン)の構築では、断層画像において各繊維位置を画像処理により同定して、それらを長手方向に繋ぎ合わせていくことにより行った。この手法は非常に手間がかかるため,X線CT画像から一方向CFRPの繊維うねりを自動的に追跡するデジタル画像相関法を提案した。しかしながら、この方法における繊維追跡精度については検討していない.そこで,この方法による繊維追跡精度について定量的な検討を行う. その後,一方向CFRPの圧縮強度を向上させる可能性のある新規な太径炭素繊維を用いた一方向CFRPに対してその繊維うねりを求め,通常径の炭素繊維を用いた一方向CFRPとの比較を実施する. 以上の結果を踏まえて,マイクロスケールの繊維揺らぎに起因する一方向CFRPのキンクバンド破壊起点の解明と、圧縮強度の向上手法について提案を行う.
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大のため、参加する予定であった国内会議がリモート開催となり、また、国際会議が中止・延期となったことから、交通費及び宿泊費の支出がなくなった。また、外部利用を想定していたX線CT装置の利用料についても、今年度は無償での利用が可能となったために支出がなくなった。以上より、次年度使用額が生じた。 これらについては、次年度の学会参加のための交通費及び宿泊費及び論文投稿料として使用予定である。
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Research Products
(2 results)