2021 Fiscal Year Research-status Report
Hydrogen Storage Materials by the Nanoconfinement effects
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20K04186
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
納冨 充雄 明治大学, 理工学部, 専任教授 (70218288)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水素貯蔵材料 / Mg系合金 / Nanoconfinement |
Outline of Annual Research Achievements |
平成3年度は,昨年度に引き続きTop-down的アプローチとしてメカニカルアロイング法にて,MgにFeとC60を添加することで水素貯蔵特性の改善を試みた.加えて1MPa以上の高圧ガスは高圧ガス保安法の規制対象となるため,水素圧1MPa未満で水素貯蔵能力を発揮する材料の開発を目指した.この結果,特性の優れていたMg-C60-FeとMg-Fe+SAは,280℃において上限水素圧が0.99MPaの時に,3.10と2.93wt%の水素を吸蔵することをPCT測定で確認した.Mg-FeとMg-C60-Feは平衡圧0.12MPa付近で水素を放出したが,Mg-Fe+SAとMg-C60-Fe+SAはボールミル時に生じたMgOの影響により0.1MPa未満でも水素を放出しなかった.さらに,DSC測定によりMg-C60-Feは378℃で水素を放出することを確認したが,商用MgH2の放出温度は449℃であることから,約70℃の低下となる. さらに, Bottom-up的アプローチとしてAlとPdを積層したMg系積層薄膜をパルスレーザー蒸着法で成膜し,圧力-組成-等温線測定(PCT測定)により最大水素吸蔵量を,示差走査熱量測定により水素吸蔵放出温度を測定した.その結果,Mg/Al/Pd,Al/Mg/Pd,Al/Mg/Al/Pd積層膜の全てにおいて水素を吸蔵した.DSC測定より,Mg/Al/Pd積層膜は239℃~452℃,Al/Mg/Pd積層膜は先より低い173℃~236℃で水素を放出したが,Al/Mg/Al/Pd積層膜は水素を放出しなかった.200℃で実施したPCT線測定より,Mg/Al/Pd積層膜は0.99MPa下で1.4~3.0 wt.%の水素を吸蔵し,Mg3Pdの存在が確認されなかったMg/Al180/Pdの水素吸蔵量が最も多かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,1MPa以上の高圧ガスは高圧ガス保安法の規制対象となるため,水素圧1MPa未満で水素貯蔵能力を発揮する材料の開発を目指した.ここで,メカニカルアロイング法によるMg系材料の作製では,ステアリン酸をミリング助剤として援用し,MgにFeとC60を添加することで水素貯蔵特性の改善を試みた.ここで,MgH2層の厚さが50μm以上あると水素の拡散が強力に阻害されるため,粒子径が100μm以下になるように調整し,粒子表面のき裂や内部の結晶粒界を導入することにより水素の侵入経路を確保した.これらの目標に対して最適な実験条件を確定するには条件を変えながら繰り返し実験を行う必要があるが,新型コロナウィルス感染予防の影響で学内への入校が制限されたことが影響して,研究の進捗に若干の影響が出ている. パルスレーザー蒸着法でMg/Al/Pd積層膜を作製する実験では,膜厚測定のためにTEM観察を必要とする.これは学内施設であるため,操作等において技術員の協力の下で観察を行うことが必須となっている.ここでも新型コロナウィルス感染予防の影響で職員の出勤が限定的になったことが影響して,研究の進捗に若干の影響が出ている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成4年度も引き続きメカニカルアロイング法によるMg系水素貯蔵材料の開発とパルスレーザー蒸着法によるMg系積層膜の開発を目指す.なお,Zhangらは,MgH2に対して10 wt.%のGNを添加することで,ミリングのみのMgH2と比較して,水素放出温度を100 ℃低減させたと報告している.また,Liuらは,同様に5 wt.%の還元型酸化グラフェン(reduced Graphene Oxide, rGO)を添加することで,水素放出温度を334℃まで低減させたと報告している.このようなGN,rGOによる触媒メカニズムは,ShriniwasanらによるとMg原子と炭素(C)原子間の電子移動に起因するとされている.水素吸蔵時には,MgからCへの電子移動により,Cはsp2炭素からsp3炭素へ変化することで水素の取り込み(C-H)を促進させる.一方で,水素放出時には,C-Hから水素が放出された後,CからMgへ電子が移動し,Mg-H結合を弱めることで,MgH2からの水素放出を促進させる.これらの知見を基にMgとグラフェンの化合物を作製し,Mg系水素貯蔵材料の可能性を追求する.
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Causes of Carryover |
物品の購入に関して端数が出てしまったため.
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Research Products
(4 results)