2020 Fiscal Year Research-status Report
次世代半導体材料の超精密研削における砥石結合剤の粘弾性の効果
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20K04193
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大橋 一仁 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (10223918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 紘幸 岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (60743755)
大西 孝 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (90630830)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 半導体 / ウエハ / 表面粗さ / 研削砥石 / 結合剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代半導体材料の超精密研削を実現するために,研削砥石の結合剤の材料特性について,粘弾性の観点から検討した.パワー半導体材料として利用が進められつつある単結晶SiCを被削材に選定し,これを研削する市販のダイヤモンド砥石であるビトリファイドボンドおよびレジノイドボンド砥石に加えて,熱可塑性樹脂を結合剤とする砥石を試作した. まず,レオメータを用いて砥石の粘弾性評価を行った結果,,熱可塑性樹脂ボンドについては温度によって粘弾性が大きく変化し,特定の温度域において弾性に対する粘性の割合(損失正接:tanδ)がかなり大きくなることが明らかになった.いっぽう,ビトリファイドボンドおよびレジノイドボンドについては,温度変化による粘弾性の変化はほとんど確認されず,損失正接は熱可塑性樹脂ボンドに比べて非常に小さいことが明らかになった.これらのボンドを用いて試作したダイヤモンド砥石で単結晶SiCを定圧研削した結果,熱可塑性樹脂ボンド砥石による研削面の表面粗さは,ビトリファイドボンドならびにレジノイドボンド砥石による場合に比べてかなり小さくなり,1nmRa以下になることが明らかになった.通常,研削による仕上げ面粗さと仕上げ面の下に生成残留する加工変質層(研削によるダメージ層)の深さは正の相関を有するため,熱可塑性樹脂ボンド砥石により加工変質層の少ない高品位なSiCウエハの研削加工が可能となることが期待できる.また,研削後の砥石表面を観察した結果,レジノイドボンド砥石では砥粒切れ刃の位置に変化がないものの,熱可塑性樹脂ボンド砥石では砥粒切れ刃が変位していることが明らかになり,このような特性が表面粗さ低減に寄与していることが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で実験遂行の制約を若干受けたが,大きな影響は無かった.
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Strategy for Future Research Activity |
研削砥石の結合剤に熱可塑性樹脂を採用することによる半導体ウエハの仕上げ面粗さの低減効果が明らかになったので,その効果をより高める熱可塑性樹脂の成分ならびに研削条件の実験的検討を実施する予定である.
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Causes of Carryover |
他経費による執行により消耗品を手配することができたことやコロナ禍で発表を予定していた国際会議が中止となったり,分析のための出張等の制約を受けたため経費執行が減少した.国際会議についてはオンライン開催が主になって実施されており,学会での成果発表と実験に用いるSiCウエハの購入に充てる予定である.
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Research Products
(1 results)