2021 Fiscal Year Research-status Report
骨に近い低弾性率を有するニオブチタン合金の高能率加工技術の構築
Project/Area Number |
20K04200
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 秀治 金沢工業大学, 工学部, 教授 (90278101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 喜隆 金沢工業大学, 工学部, 教授 (00290734)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 駆動型ロータリー工具 / ニオブチタン合金 / ヘール加工 / 高能率加工 / 切削機構 / チタニウム合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,変形性股関節症の治療に使用される人工股関節システムのステム形状の成形を目指しており,これに用いられるニオブチタン(Nb-Ti)合金材料の高能率加工技術の構築を行うものである.この材料は材料固有の特性である“人骨に近い弾性率”を有しており,かつ精密鋳造法により一次成形品が供給しやすい材料である.しかし,極めて高い難加工性を有しているため,骨の代替え材料として優れた医療用材料であるにもかかわらず使用に至っていない.この課題を解決するため,丸駒チップ工具とシリンダ形状の円筒端面外周部を切れ刃とするロータリ工具を用いて切り取り厚さを薄く制御することによる加工特性の向上を検討する.これに加え,ロータリー工具とヘール加工のハイブリッド化による高能率加工技術の構築を目的としている. 本年度は昨年度に引き続き丸駒チップを利用したラジアス加工の高能率化における加工雰囲気の影響とロータリ工具とヘール加工における工具損傷機構の解明を試みた. 丸駒チップによるラジアス加工においては,MQL環境によるオイルミストの潤滑が切れ溶着物の生成を抑制し、工具寿命を決定する剥離を回避することが可能となることを明らかとした.また,切削速度変化における剥離を伴う損傷機構は切削温度測定結果と分析結果から温度上昇に伴う工具被膜の劣化が原因であり,3.0m/sが適切な切削速度条件であることを証明した.一方,ロータリ工具のヘール加工方式による加工表面状態の検証と独特の工具損傷に至る損傷機構について実際の擦過距離を求めるとともに詳細な損傷状況の把握を試みることにより,切れ刃に対する凝着機構が大きく関与することを明らかとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続きコロナ感染拡大の影響を受けた状況であったが,学内での活動時間を確保できるようになり,昨年の遅れを取り戻しながらではあるが70%程度の進捗となっている. 本研究では生体適合性に優れかつ低い弾性係数を有するニオブチタン(Nb-Ti)合金材料を使用し,研究を推進する計画であったが,コロナ感染拡大の影響が材料の原料調達に影響を及ぼし今年度も十分な量を調達できる状況になかった. 2021年度も昨年に引き続き,比較的小さな面積を対象とした小型ミーリング加工機による丸駒チップを用いたラジアスエンドミルを対象とした加工と,比較的大きな面積の加工を目指した同時5軸制御の複合加工機によるロータリ工具によるヘール加工の2方式による検討を進めた. 前者の丸駒チップを用いたラジアス方式によるエンドミル加工においては,切削温度の切削速度依存性と各条件における工具摩耗部の被膜の分析を試み,3.0m/sで大きく変化することを明らかとしている.さらにこの結果と事前に把握している工具損傷状態から被膜損傷機構を明らかとした.後者のロータリ工具によるヘール加工においては加工面のカプス高さの検証とMQL方式による切削環境の異なる条件での損傷を検討することにより,工具損傷機構を明らかとした.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は前年度の加工面直下の加工変質層などの積み残し部分を進めると同時に、2022年度実施予定である駆動型ロータリ工具によるヘール各方式の自由曲面形状への適用を進める予定である. 進捗状況の中でも述べたが,当初予定していたニオブチタン合金材料の大きな素材が原料粉の調達ができないため,作成できない.ここについては凝着特性の点で若干の相違が考えられるが,ニオブチタン合金の代用材料としてチタニウム合金を用いる予定である.
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大に伴い流通関係がコロナ以前よりもレスポンスが悪くなったため,使用予定であったニオブチタン合金が原料の入手が難しくなり手配が不可能であった。2022年度は何とか入手していただけるように供給メーカーにお願いしているが,当初の原材料費よりもかなり高騰することが予想され,必要な量の調達ができない可能性もある.
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Research Products
(3 results)