2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K04208
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
關谷 克彦 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (80226662)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 構成刃先 / 凝着 / 切りくず / 切削加工 / 鋼 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属材料の切削加工における凝着物生成および切りくず生成過程を明らかにすることを目的とし,切削時に生じる凝着物や構成刃先の3次元形状と切りくず幅 方向の材料流出を含めた切削工具切れ刃稜線周辺部の材料変形及び流出挙動を把握するため,断続旋削加工時に生成された切りくずの末端部の断面観察と硬さ測 定を実施した. 2020年度に開発した切削終了端に切削力を支えるための真鍮板を設置することによる切りくず採取方法を適用し,切削端部の断面組織の観察と硬さ測定を実施した.これまでにも多くの報告がある中炭素鋼(S45C)の切削を対象として,切りくず幅方向に順次切りくず流出方向断面観察を行った結果,切削仕上げ面生成に関与する部分では,切削速度が低速の場合,切りくず(試料)によるばらつきや観察部位によるばらつきが大きく,生成された構成刃先の厚さや形状が切削中に複雑に変化しているであろうことが判明した.また,切削速度が上昇するとこれらの変動と構成刃先の厚さが共に抑制されることがわかった.単独の切りくずに着目し,切りくず幅方向に構成刃先の規模を調査した結果,仕上げ面生成に関与する部分の構成刃先の厚さは薄く,切りくず幅方向中央部に近づくに従って構成刃先の厚さが厚くなっている傾向が認められた,この傾向は低切削速度で著しく,切削速度の上昇によって構成刃先の厚さは全体に薄くなり,幅方向における厚さの差も小さくなっていくことがわかった.しかしながら,前年度の観察結果と同様,高切削速度下においても構成刃先が消失するわけではなかった. これらのことから,仕上げ面の生成状態から構成刃先生成の有無を判断することは,切削現象や切りくず生成挙動を考える場合には適切ではないと思われる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初より作業の煩雑さから十分な量のデータ取得に対し懸念があった.例えば,硬さ測定は切りくず一断面につき数十か所測定しなければ十分な分解能(測定箇所数)で切りくずの様子を把握し難いが,これには2時間程度の時間が最低でも必要となり,このことが予期していた以上に研究の遅れを生じさせている. 切りくず生成による切りくず内の変形が激しく,これまでの切りくず流出方向断面と幅方向の断面の観察だけでは,全体像が把握し難くなっており,切りくず厚さ方向にも観察断面を設定することが必要となっていることも遅れの原因である.
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Strategy for Future Research Activity |
画像処理等を適用し金属組織の変形を推定する対策も考えられるが,この手法についての検討には更に時間が必要であり,また,独立したテーマとして扱うべき課題であると考えられるので,本テーマでは踏み入れないこととしたい. 時間は更に必要となるが,これまでに切りくず断面観察として,切りくず厚さ方向に観察断面をいくつか設定するような観察は実施されておらず,切りくず幅方向に組織がどの程度流れているかを把握する上では有効と考えられるので,次年度は追加してこのような観察を行ってみたいと考えている. また,工具すくい面の潤滑状態の影響を次年度に着手したい.
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため,参加予定の学術講演会がオンライン実施されたため,学会出席のための旅費が未使用となった. 次年度は複数の国際会議に出席予定のため,本年度残額を用いたい.
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