2020 Fiscal Year Research-status Report
熱溶解積層法により得られる造形物の機械強度向上に関する研究
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20K04209
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| Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
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Principal Investigator |
是澤 宏之 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (70295012)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | ３Dプリンティング / 熱溶解積層法 / 射出成形 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は，付加製造法の一つである熱溶解積層法（Fused Deposition Modeling ：FDM）により得られる造形物について，射出成形金型を用いてフィラメントを形成し，その単体の機械強度の向上に基づいた造形物の包括的な機械強度の確立にある．フィラメント単体の機械強度を向上させるためには，これを形成する際，高いせん断速度を与え，これに伴って樹脂を流れ方向に配向させる方法が考えられる．これを実現するために，射出成形法を用いる．R02年度は，「射出成形法により得られる製作フィラメントの強度評価と最適成形条件の探索」を実施した．
通常のFDMで利用されるフィラメント形状および加工法・成形法の状況など考慮して，今回製作したフフィラメントでは，その断面の１辺を1.75mmとする正方形状とし，長さ150mmを想定した．これを成形品として成形可能とする金型について，事前検討にて数値解析を実施し，この結果，金型壁面に接する樹脂表面よりやや中心部の領域において，高せん断速度が発生する領域があることを確認した．これに基づき，先述の成形が可能な金型を製作した．この金型を用いて，具体的な成形品を成形し，異なる成形条件（具体的には，射出条件を変化させること）で，せん断速度の違いによる機械強度を比較検討した．評価として，引張試験器および曲げ試験用いた．各試験は問題なく実施できた反面，引張強度および曲げ強度ともに，異なる成形条件間での明らかな有意差を認めるまでには至っていない．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
熱溶解積層法（FDM）に使用するフィラメントを射出成形法によって形成し，得られた成形品に対して，引張試験と曲げ試験を実施して，速いせん断速度をもつ成形品程，各種試験により，フィラメントの機械強度が向上することを当初予期していた．具体的には，射出速度を３水準設定することで，異なるせん断速度を有する成形品を用いた．しかしながら，機械的強度試験において，水準間での有意差を確認することができず予想外の結果を得た．このため，当初予定していた次段階の「最適成形条件の探索」に関して，実成形での射出速度の計測を可能とする金型についての設計上の技術検討には着手しているが，強度評価の結果によっては計測方法も変更される可能性もあることから，金型製作や成形実験などの実施までには至ってはいない．
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| Strategy for Future Research Activity |
射出成形法に基づく熱溶解積層法フィラメントの成形について，その機械強度の向上に寄与すると考えられる成形時の高せん断速度領域での機械強度の評価と確認を優先すべきと考えている．成形時の樹脂の流速分布に起因するせん断速度は成形品内部では一定値とはならない．よって，成形品を異なる代表的な流速分布となる様に糸状試料として切断・分離し，これに引張試験を実施することで，射出成形法で得られるフィラメントのせん断速度の違いによる機械強度を評価する．糸状の試料の製作には困難も予想されるが，精密切断機の利用を想定する．引張試験方法についても糸状試料の長さが，通常のそれと比較して，短いことから非常に繊細な対応を要請される可能性も予想されるが，試験専用治具の製作および関連試験装置の検討により実現できると考えている．これらの実施により，高せん断速度による機械強度向上が判明の後，実成形中の観察に基づくせん断速度の観察などの当初の実験等を実施予定である．なお前述の結果を踏まえて，射出成形によるフィラメントの成形時に，その内部に高せん断領域の増加を見込める成形方法あるいはその金型構造を併せて検討予定である．
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| Causes of Carryover |
射出成形機と金型を利用した高せん断領域での成形による樹脂の配向を意図した成形によるFDM用フィラメント成形品の機械強度について，低せん断領域のそれと比較して，引張試験などの評価より，有意の差が確認できた後に関連機材を購入予定であった．しかしながら，R02年度では有意な差を認識できるまで至ることができなかったために関連機材の導入の遅延が発生した．
R03年度は，高せん断領域で機械強度が向上することを早急に明らかにする．まず可能な限り公的な既設の設備を活用しての試行的な実験を実施する．その結果，機材導入効果が期待できると確認された上で，成形条件の水準などを振っての実質的な実験を実施するための関連機材を導入する予定である．
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Research Products
(1 results)
