2021 Fiscal Year Research-status Report
樹脂とアルミニウム合金の高結合プロセスとその周辺技術の開発
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20K04217
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
桑野 亮一 広島工業大学, 工学部, 准教授 (30709134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 実 広島工業大学, 工学部, 教授 (70510486)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 紫外パルスレーザ / 表面改質 / 異種材料接合 / A5052アルミニウム合金 / 酸化アルミニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度に整備した紫外(波長355 nm)パルスレーザによって、接合力向上の点で重要な周辺技術としての表面処理システムを確立できた。それを用いて、紫外(波長355 nm)パルスレーザ照射による表面創生と接合力への影響について解明を試みた。その結果、接合表面の凹凸形状、生成物質、濡れ性、表面の活性化などが相互に関係し、結合力が向上したことがわかった。 本表面処理の検討では、湿式の表面処理方法である陽極酸化処理ではなく、環境に配慮し、かつ高速化が期待できる乾式の表面処理方法である紫外(波長355 nm)パルスレーザを照射し、接合に適する表面の創生と改質を検討した。フォトンエネルギの高い紫外域の光源と高いパルス周波数域でも高出力が可能なレーザ発振のメカニズムを応用し、レーザ照射間隔の異なる表面微細加工を行い、形成された表面を比較した。その結果、レーザ照射スポットが重畳するほど、加工痕内の凹凸形状は不規則かつ複雑さを呈した。また、レーザ照射密度が上がるほど、表面層の汚染物質は消失され、酸化は促進されることがわかった。さらに、レーザ照射すると材料表面の濡れ性が向上し、超親水性に変質した。これらの結果を踏まえたレーザ照射条件で試験片を製作後、A5052同士の重ね継手引張せん断試験を行なった結果、継手強度は10 MPaを実現できた。以上より、紫外(波長355 nm)パルスレーザ照射によるA5052の表面改質効果を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A5052アルミニウム合金表面のミクロスケール観察の結果、UVレーザ照射による微細凹凸形成および表面改質の達成度は、主に①レーザビームスポットの重畳、②母材表面層の除去に基づく効果が大きいことが明らかになった。これによって、湿式の表面処理に比較して、環境負荷が低く、操作性や高速性に優れる乾式の表面処理法の適応が期待できる。しかし、陽極酸化処理に比べると、結合力の点で現状70%ほどの低結合力である課題が残されている。ただし、令和3年度のUVレーザ照射による表面改質効果の把握によって、実現できた接合強度では、A5052の0.2%耐力である10 MPaと同等の継手強度が得られている。よって、今後の研究では、これまでに得られた知見を複合させることで、結合力を10%ほど増加させられることが期待できる。それが可能となれば、静的荷重下の接合用途の応用がさらに拡大できると考えられる。このような進捗から判断して、当初の目標が順調に達成されていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
アルミニウム合金(A5052)とポリアミド樹脂(PA66)の異種材料接合部の接合強度について、これまでに4 MPaほどの接合力を得るまでに向上できている。次年度では、これまでの陽極酸化による表面処理および紫外(波長355 nm)パルスレーザによる表面改質を用いることにより、異種材料接合部の強度を15 MPaまで向上させることを目標とする。その接合強度に接合できれば、アルミニウム合金の母材が塑性変形するほどの応力伝達能を得ることが可能となる。そこで今後の検討内容を下記のとおり計画している。 ・陽極酸化および紫外(波長355 nm)パルスレーザを用いた表面処理による異種材料接合部の接合力向上 ・紫外(波長355 nm)パルスレーザ照射によるPA66の表面処理による接合密着性と接合力の向上 ・A5052に形成される酸化皮膜について、特にその厚みや生成形態に注目し、接合力との関係や破壊との関係の理解
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Causes of Carryover |
装置製作において、ジグの構造を変更したことによって、部品数を削減できたので、次年度使用額が発生した。次年度は、レーザ照射を行うために重要となる焦点位置の検出機構の製作に使用を計画している。
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Research Products
(6 results)