2022 Fiscal Year Annual Research Report
樹脂とアルミニウム合金の高結合プロセスとその周辺技術の開発
Project/Area Number |
20K04217
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
桑野 亮一 広島工業大学, 工学部, 准教授 (30709134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 実 広島工業大学, 工学部, 教授 (70510486)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 異種材料接合 / 表面改質 / 陽極酸化 / 大気圧プラズマジェット / マルチマテリアル / アルミニウム合金 / ポリアミド樹脂 |
Outline of Annual Research Achievements |
陽極酸化したアルミニウム合金表面の接合機能の回復を目的として、10 W程度の低電力で動作する大気圧プラズマジェット(Atmospheric Pressure Plasma Jet、以後APPJと記す)照射装置を試作し、乾式で物理的な表面処理技術の確立を図った。主に陽極酸化処理から日数が経過したA5052表面にAPPJ照射し、アルミニウム合金とポリアミド樹脂の異種材料接合力の効果を評価した。 陽極酸化後30日を経過したA5052表面の親水性を接触角計で測定すると、大きい接触角を示したが、APPJ照射密度を高めることに伴って、接触角は顕著に低下し超親水となることがわかった。異種接合継手の接合力を引張せん断試験で比較し、陽極酸化後30日経過の試験片について、APPJ未照射材と照射材では、後者の接合力が20%以上向上することを明らかにした。APPJ照射による親水性や接合力の向上要因を走査電子顕微鏡で観察した。数十 nm程度のポーラスな表面構造を明瞭に確認できたが、APPJを未照射材と照射材の両表面の形状的な差異は認められないことがわかった。さらにX線光電子分光法の観察から、APPJを未照射材と照射材では、有機化合物や酸化物の濃度が僅かに変化し、最表層の吸着物の影響が大きいことを明らかにした。 本研究では、材料物性が顕著に異なるため接合が困難な異種材料間の接合技術の開発を行った。アルミニウム合金とポリアミド樹脂の異種材料間に熱可塑性エラストマインサート材を用いる新規なレーザによる高結合プロセスを提案し、そのための周辺技術(陽極酸化処理、UVパルスレーザ表面加工、低電力APPJ照射処理)も確立できた。本研究の成果は、構造体のマルチマテリアル化に伴う次世代の構造体作製に不可欠な基盤技術としての展開が期待できる。加えて、本研究によって塗料を用いずに構造色を発現できるプロセスも見出した。
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Research Products
(2 results)