2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K04222
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
川原 浩一 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 主任研究員 (00302175)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ガラス精密研磨 / セリア系砥粒 / 砥粒スラリー寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、市販セリア系砥粒(ランタン固溶セリア, LDC)を模擬した砥粒を噴霧熱分解法によって合成し、砥粒スラリー劣化挙動を明らかにすることが目的である。劣化に影響を与える因子を抽出するため、種々の研磨条件で劣化挙動を調べ、得られた結果を検討することで、劣化挙動に影響を与える因子を明らかにするとともに、劣化メカニズムを明らかにすることを目的としている。 初年度は、砥粒スラリー寿命評価に供するため、市販砥粒を模擬したLDC粒子の合成条件について検討を行い、原料溶液に酢酸を添加することで粒子形状を制御可能であることが分かった。 昨年度は、研磨試験に必要な量のLDC粒子を合成し、ガラス研磨挙動を調べた。模擬砥粒を用いた砥粒スラリー寿命評価では、研磨速度の変化が緩やかな初期領域と、研磨速度の低下速度が大きくなる劣化領域が認められた。これは、市販砥粒で認められている劣化挙動と同様であり、模擬砥粒を用いて砥粒スラリー劣化挙動を捉えることが可能であることが分かった。 本年度は、模擬砥粒を用いた砥粒スラリーの寿命評価に関する検討を進めた。同一の研磨条件のもと、La固溶量が10~40%のLDCを用いて砥粒スラリーの寿命評価を行った。その結果、La固溶量に依らず、研磨速度の低下が緩やかな初期領域と、研磨速度の低下速度が大きい劣化領域が認められ、La固溶量によらず、同一の劣化機構が働いていることが示唆された。次に、添加するカチオンをYに変えて同様の検討を行った。その結果、Y添加セリア(YDC)砥粒の場合も、LDC砥粒の場合とほぼ同様の劣化挙動を示すことが明らかとなり、セリア系砥粒スラリーの劣化挙動は、セリアに固溶したカチオン種には依存しないことが明らかとなった。劣化機構としては、砥粒スラリー循環式研磨のために、研磨中に除去されたガラスくずが砥粒スラリー中に導入・蓄積することが原因であると考えられる。
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