2020 Fiscal Year Research-status Report
非理想モデルを用いた公差解析の開発と総合的品質設計への展開
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20K04225
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
大塚 章正 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 准教授 (90611848)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 幾何公差 / 公差解析 / Skin model shapes / 形状モデリング / サーフェス接続 / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、設計段階における最終品質の保証の実現に向けて、加工工程ならびに計測工程の詳細パラメータを公差設計時に決定するための具体的な手法を開発することである。公差解析や設計支援のソフトウェアは様々なものが市販されており、ばらつきや工程能力の確認に用いられている。その計算内において幾何学的に理想的な形状モデルが使われていることが多い。これは計算時間は短くなる一方で製造上の加工誤差に起因する形状誤差を考慮していないゆえ、モデル化誤差が生じてしまう。公差解析の分野においては、より現実に近い形状モデル(これをスキンモデルシェイプと呼ぶこととする)を作成し、各種解析に用いられ始めてきている。本研究課題では、このモデルの作成から取り組み始め、最終的には、製造工程における加工条件(加工法・加工のパス・工具)と計測条件(抜き取り検査数・管理限界)の指針を設計者に示し、設計者の意思決定を支援することとなる。スキンモデルシェイプの作成には、ランダムに生成される機械加工痕を有するサーフェスモデルがまず必要となる。これを準備するために、以前より本研究室ではWavelet変換を利用する手法を開発していた。この研究成果が2020年、国際雑誌 Computers & Industrial Engineeringに、またCIRP主催の国際会議Computer Aided Tolerancing において発表された。本研究課題の2020年度の達成目標は、これらのサーフェスモデルを接続してアセンブリレベルでのスキンモデルシェイプを生成することであった。サーフェスモデルを接続する際に生じた問題は解決でき、当初の予定通り円筒と直方体からなる2穴2ピンのモデルなどを作成できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、様々なアセンブリモデルが作成できるようになった。特に、はめあいの計算で利用する2穴2ピンのモデルを計画通り作成できたため、順調に進展したと判断した。2つのサーフェス接続部に生じる隙間と干渉を最小にするために、各サーフェス要素の並進移動量を設計変数とし、接続部の隙間と干渉のばらつき(分散)を目的関数とする最適化問題に帰着させた。その上で実数値型遺伝的アルゴリズムを用いて準最適解を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書の通り、2021年度は2穴2ピンのはめあいモデルでの接触姿勢の計算法の開発を行う予定である。また、前倒しになるがシミュレーション環境を整えた後、現時点で開発したモデルが適用可能な数値計算を行い、分析していく予定である。
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Causes of Carryover |
参加予定であった国際会議がコロナ禍のため開催中止となり、旅費として計上していた予算を使用しなかったため。2021年度以降の学会や国際会議の旅費と参加費として使用する予定である。
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