2021 Fiscal Year Research-status Report
Numerical Simulator for Hydrodynamic Lubrication by Particle-based Method
Project/Area Number |
20K04236
|
Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 健太郎 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (60359693)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 流体潤滑 / 粒子法 / 表面張力 / 数値流体 / 微小液滴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,気液界面の大変形を容易に扱いうる粒子法を用いて,流体潤滑解析を行うことを目的としている.通常の流体潤滑解析では,先すぼまりの油膜引き込み側は油で満たされていると仮定して解析を行う.撹拌抵抗の低下や省資源を期待して意図的に微量の油で潤滑効果を得ようという試みもあり,このような場合,引き込み側が油で満たされるという仮定は成立しない.引き込み側がどこまで油で満たされるかは,供給油量,潤滑面の形状・性状, 運転条件等によって決まるが,これを何らかの境界条件に落とし込むのは難しい.これらの難点を回避するために,粒子法を用いてNavier- Stokes 方程式を直接数値解析することを試みている.潤滑面が油で満たされていないということは,油と気相の気液界面があるということである.この気液界面で作用する表面張力を正しく計算できることが重要である. 前年度までに,円形液滴の表面張力振動を対象とする数値計算を行うことで,表面張力計算モデルの検証を行い,静的には円形時の液滴の内圧がラプラス圧力と,また動的には振動の周期がRaylieghの理論と,それぞれ粒子法で計算した結果が一致することを確認した.当年度は,液体架橋破断法により生成する液滴の表面張力振動の観察結果と,粒子法による数値計算の直接比較を行い,それらが適切なパラメータ設定のもとでは極めてよく一致することを示した.これによって,粒子法における表面張力計算を,理論および実験の両面との比較により検証を行うことが可能となった. 流体潤滑解析については,上記の検証された表面張力計算を組み込んだ粒子法解析を行って,既往の数値計算・実験結果とよく一致する結果が得られることを確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,順調に進展しているが,改めて粒子法解析の計算負荷の大きさを認識しているところである.これは,高性能な計算機の利用や,計算コードの並列化をすることによって計算時間の短縮を行うこととしている.しかし,あらかじめ十分な計算粒子の大きさを設定することが難しい,動的な問題(たとえば潤滑面の間隔が狭くなって,面間の計算粒子が不足する場合など)については,本質的な解決とはならない.計算領域の計算粒子の数が不足した場合にも,それなりの計算を行って解析を継続しうる枠組みの新規開発が,研究課題の目的を達成するためには必要である.
|
Strategy for Future Research Activity |
計算領域の計算粒子の数が不足した場合にも,それなりの計算を行って解析を継続しうる枠組みの新規開発を検討する.計算コードの並列化と合わせて,実現象に近い計算モデルを扱いうるシミュレータの開発を進める.
|
Causes of Carryover |
2021年に参加を予定していた国際会議(WTC2021,フランスリヨン)が2022年に延期されたこと,また国内の学会講演会も軒並みオンラインで開催されたため,外国旅費,国内旅費として計上した予算をほとんど使用しなかったため. また,数値計算用計算機環境の構築を進めたが,納期不確定により購入に至らなかった電子部品があったため.
2022年に延期されたWTC2021については,諸般の事情を鑑みて発表取り下げとすることにしている.このことよる助成金の余剰については,計算機環境のさらなる充実と,表面張力計算検証のための実験装置の整備費にあてたい.
|