2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a small flow control valve capable of micro-flow control
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20K04248
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
廣岡 大祐 関西大学, システム理工学部, 准教授 (10634016)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 流体制御機器 / 圧電素子 / アクチュエータ |
Outline of Annual Research Achievements |
空気圧アクチュエータは安全性,柔軟性の高さから,人間の近くで駆動するリハビリテーション機器や医療用ロボットへの応用が期待されている.また,近年はその柔軟性の高さに着目した,ソフトアクチュエータや人工筋肉の研究も盛んにおこなわれている.一方,これらのアクチュエータを制御するデバイスは,制御性,応答性などに問題がある.申請者は現在までに,小型,軽量で連続的な流量制御が可能な,空気流量制御弁の開発を行っている.この制御弁は空気管路内部に弁体として封入した微粒子に,圧電素子の共振を利用し外力を加え,弁の開度を変化させ,連続的に流量を制御することが可能である.本研究では,この制御弁の駆動原理を発展させ,圧電素子によりオリフィス上の微粒子の微小な運動を制御することで,高応答で微細流量の制御が可能な流量制御弁の駆動原理を提案して小型軽量の流量制御機器を開発している.2020年度は,オリフィス板が振動した際の,微粒子の運動と流量特性の関係の解明を目指し,空気圧印加時の微粒子の挙動を確認するために制御弁内部が観察可能な観察システムを作成した.この観察システムは,アクリル製の治具と,振動子からなる.振動子として,内部が空洞のボルト締めランジュバン型振動子を用いている.振動の腹である振動子先端にオリフィス板を,振動の節であるフランジ部分に治具を取り付けることにより,振動特性を変化させずに,空気圧を印加した状態のオリフィス板と微粒子の挙動の観察が可能である.この観察システムを用いることで,オリフィス板の振動,微粒子の挙動,流量特性が観察可能であることを確認した.さらに,微粒子の運動や流体の挙動が,オリフィス板の振動に与える影響を明らかにし,駆動に最適なオリフィス板の振動条件を確認した.この結果より,制御弁の小型化と制御流量の増加を可能にする,制御弁の構造を推定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は本研究の課題の一つである,微粒子の運動と流量特性の関係を明らかにすることを目指し,空気圧印加時の微粒子の挙動を確認するために専用の観察システムを作成した.この観察システムを用いることで,過去に利用していた流量情報だけでなく,制御弁内部の情報である,微粒子の挙動が観察可能となった.さらに,このシステムにレーザードップラー振動計を取り付けることで,オリフィス板の振動特性の観察を同時に行うことが可能となった.このシステムを用いることで,オリフィス板の振動と微粒子の挙動の関係,微粒子の運動が流量特性に与える影響の確認ができ,この制御弁の駆動原理に関する基礎的データの収集が可能となった. この観察システムを用いた実験により,流量制御時に,オリフィス板の振動が微粒子の挙動に与える影響とそれに伴う流量変化の様子を測定できた.この測定結果より,微粒子がオリフィス上で安定的に運動するために必要な条件,振動特性と制御流量の関係の一部が明らかになった.一方で,オリフィス板の駆動条件によっては,流量制御時の微粒子の運動がオリフィス板の振動に影響を与える現象が確認された.この結果を踏まえ,微粒子の運動観察とレーザードップラー振動計による,振動特性の計測により,微粒子の運動がオリフィス板の振動に影響する原因を明らかにし,制御弁の駆動に最適な,駆動条件,制御方法を示した.この結果より,微小体積の制御弁において,今回明らかになった駆動条件,駆動方法を実現することで,制御弁の小型化と制御流量の増加を実現することが可能であると示した.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究実施により,微粒子の挙動の観察が可能なシステムが観察した.一方で,微粒子の挙動がオリフィス板の振動に影響する現象が確認されたため,この原因の調査を優先して行った.その結果,空気圧印加時の微粒子の運動の影響を受けないオリフィス板の振動モード,影響の低減が可能な制御方式を明らかにした.2021年度は制御弁の流量特性に影響を与えるパラメータの解明と制御弁の小型化と制御流量の増加を目指した研究を進める. 流量特性の解明に関しては作成した観察システムに高倍率での撮影が可能なハイスピードカメラを取り付け,微粒子の観察を数msスケールで行うことで,制御弁の分解能や応答性に関するデータの取得を行う.さらに,新たに試作機を作製し,オリフィス形状や微粒子寸法が流量特性に与える影響を確認する.これらの結果をもとに,試作機内での微粒子の運動を模擬した流体解析モデルを作成し,流量特性の定式化を目指す.具体的な制御目標を決定した試作機の作製を行い,設計パラメータの精度について評価する. また,制御弁の小型化と制御流量の増加を目指し,微粒子の運動の影響が低減可能な制御方式で駆動可能な小型の試作機を設計する.設計は実験結果をもとに有限要素法解析により行い,製作した試作機を用いて確認実験を行う.この試作機を用いた実験結果をもとに,制御弁の小型化を目指す.
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Causes of Carryover |
当初計画では,2020年度中に微粒子観察システムにハイスピードカメラを搭載する予定であった.微粒子の挙動がオリフィス板の振動に影響する現象が確認されたため,この原因の調査を優先して行い,ハイスピードカメラの購入を延期した.その結果,当初計画と差額が発生した.
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