2020 Fiscal Year Research-status Report
Effect of traveling-wave control on fluid flow and heat transfer in turbulent Taylor-Couette flow
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20K04259
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
光石 暁彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (90456715)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 研究手法の検証と妥当性確認 / 乱流制御効果の確認 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,外円筒が静止し内円筒の回転する同心二重円筒間に生じる乱流(テイラー・クエット乱流)の摩擦抵抗及び対流熱伝達に及ぼす,進行波制御の影響を明らかにすることを目的としている.当該年度は,研究に使用する高精度熱流体シミュレーションプログラムの構築,並びにその動作検証と進行波制御の予備解析を行った.実用上重要となるのは,内外円筒間ギャップの狭い高半径比条件の場合である.しかし,この条件において,ギャップに生じる高い速度勾配・温度勾配を計算格子によって解像すると,実機と同等の内円筒回転周速条件で周方向に全周分の計算領域を確保するのは,プログラムの動作検証としては非現実的なコストがかかる.そこで,内円筒回転周速は目標とする実機の1/4弱にし,円周角も小さく設定した.まずは非制御の場合について,内円筒の回転維持に必要なトルクを計算したところ,従来提案された実験経験式を充分支持する値を得た.これを受けて,進行波制御を印加する場合の予備解析を行った.進行波制御は,内外円筒それぞれの表面上の径方向速度成分(吹き出し・吸い込み)に対して,周方向に進行する正弦波状の時空間分布として与えた.制御を印加する面・進行波の振幅・波数・位相速度を系統的に振ったところ,本計算条件においては,制御を外円筒に対して印加し,進行波の進行方向を内円筒回転方向とは反対方向にし,速度振幅を比較的大きく設定した場合に,乱流渦構造の減衰並びにトルクの低減が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に行うことになっていた研究の当初の予定と照らし合わせると,おおむね順調に進展していると言える.まず,予定では,当該年度においては,内外円筒間ギャップの狭い高半径比条件において,内円筒回転周速の比較的低い場合を対象に,非制御の場合と軸方向に一様な進行波制御を印加した場合とで検証を行い,さらに軸方向に非一様な進行波制御の効果の検証まで進む予定であった.しかし,軸方向に一様な進行波の検証において,摩擦抵抗を低減するパラメータは得られたものの,それは従来報告されていた場合よりも制御振幅が非常に大きく,正味のエネルギー低減は期待できない.このことは,狭ギャップのシミュレーションを効率的に進めるために計算領域の円周角を小さくしたことが原因と考えられる.従来,広ギャップ条件においては,進行波の円周方向の波数が非常に低い(つまり波長の長い)場合に摩擦抵抗低減効果が確認されてきた.このような場合は,円周角の小さい計算領域のシミュレーションでは検証対象から漏れてしまった可能性が高い.そこで現在は,比較的広ギャップの条件で検証をし直し,従来報告されてきたような進行波パラメータにおいて摩擦抵抗低減効果の得られることを確認している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では,実用上重要となる内外円筒間ギャップの狭い高半径比条件の場合に,円周角を全周(360度)確保した計算領域を用いてシミュレーションを進めることを視野に入れなければならない.そのために必要となるのは,広帯域メモリを大量に搭載した計算機の導入である.現状では,帯域幅500GB/sのMCDRAMを搭載した高速計算機を2ノード使用しているが,1ノードに16GB分しか存在しないため,ノード単体では高半径比条件では円周角360度の計算領域を設定することは不可能であり,また2ノードではノード間並列の効果も限定的である.そこで,研究の推進方策として,帯域幅を犠牲にしつつも大容量のメモリを搭載可能な計算機を新規に導入予定である.計算機調達環境については,当該年度からは状況が改善してきているものの,半導体製造工場の稼働率は新型コロナウィルスの影響で依然として下がっており,高速計算機は製造期間が長く価格も高止まりする傾向にある.したがって,今年度の早期に機種を選定し発注することが肝要と考える.計算機の見積価格次第であるが,新型コロナウィルスの影響で続々と国際会議が延期されていることを鑑み,今後の研究発表用に確保しておいた予算を計算機購入に回すことも視野に入れている.
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Causes of Carryover |
次年度使用額の生じた大きな理由は,新型コロナウィルスの感染拡大による社会情勢の変化である.まずは,本研究の情報収集のために参加を予定していた国際会議の全てがオンライン化されたことにより,計上していた主催地への渡航費・滞在費がほとんど不要となり,予算が消化されなかった.さらに,半導体の供給能力を削減した直後に需要が急増したことにより,高速計算機の購入検討を始めた時には既に納期が通常より大幅に遅れざるを得ない状況となっており,同じく当該年度内に予算消化することがかなわなかった.したがって,本補助金の順調な消化並びに本研究課題の推進のために,当該年度内に見積もった高速計算機の購入を早期に行う予定である.また,新型コロナウィルスの感染拡大により,次年度内に開催が予定される国際学会も軒並みオンライン化が決定しており,学会参加のための渡航費・滞在費として確保していた予算も,本研究課題推進のための計算能力向上にあてることで,順調な予算消化を図る.
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