2021 Fiscal Year Research-status Report
Effect of traveling-wave control on fluid flow and heat transfer in turbulent Taylor-Couette flow
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20K04259
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
光石 暁彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (90456715)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乱流制御効果の確認 / 実用条件下における検証 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,外円筒が静止し内円筒の回転する同心二重円筒間に生じる乱流(テイラー・クエット乱流)の摩擦抵抗及び対流熱伝達に及ぼす,進行波制御の影響を明らかにすることを目的としている.当該年度は,前年度までに構築され,動作検証と予備解析を経た高精度熱流体シミュレーションプログラムを用いて進行波制御の本解析を試みた. 計算条件は,予備解析と同様,例えばモータのステータ・ロータ間流れ等の実用上重要となる内外円筒間ギャップの狭い高半径比条件の場合である.進行波の重要なパラメータは,制御を印加する面・進行波の振幅・波数・位相速度である.平行平板間流れを対象とした既往研究において,進行波制御の抵抗低減効果に対して最も感度の高いことが判明していた位相速度を系統的に振った結果,本計算条件においては,制御を外円筒に対して印加し,進行波の進行方向を内円筒回転方向とは反対方向にし,速度振幅を比較的大きく設定した場合に,乱流渦構造の減衰並びにトルクの低減が確認された.ただし,ここで試した進行波の波長は,平行平板間流れにおいて有効とされてきた値を参考にしたものだったが,実機への適用を考えるには短過ぎ,また速度振幅は大きすぎた.そこでさらに長波長かつ小速度振幅の進行波制御を試したが,この条件では摩擦抵抗の減少する条件を見出せなかった. そこで本年度は,流路の曲率の無いパイプ流路に立ち返り,長波長の進行波制御が流れにもたらす効果を明らかにすることを試みた.その結果,そのような進行波制御下の流れは,制御印加前に流れが層流であればその状態を維持しうること,乱流の場合は著しく抵抗が増大しうることを見出したが,安定して摩擦抵抗を減少させ得る条件は見出せなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定では,当該年度においては,内外円筒間ギャップの狭い高半径比条件において,内円筒回転周速の比較的低い場合を対象に,非制御の場合と軸方向に一様な進行波制御を印加した場合とで検証を行い,さらに軸方向に非一様な進行波制御の効果の検証まで進む予定であった.しかし,軸方向に一様な進行波の検証において,摩擦抵抗を低減するパラメータは得られたものの,それは実用化を考えると制御の波長が短すぎ,また従来報告されていた場合よりも制御振幅が非常に大きく,正味のエネルギー低減は期待できない.この問題を解決するため,回転二重円筒間流れから流路曲率の無い直パイプ内流れに対象を変更し,実用化を見据えた長波長の制御効果を検証したが,安定して摩擦抵抗を減少させ得る条件は見出せなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では,実機への応用にとらわれずに計算領域・進行波制御パラメータ条件を振ることで,摩擦抵抗低減のみならず伝熱促進にも有効な進行波制御を見出す.円周角を全周(360度)確保した計算領域を用いてシミュレーションを進めることを視野に入れ,大容量メモリを搭載した計算機の導入である.前年度,研究の推進方策として,帯域幅を犠牲にしつつも大容量のメモリを搭載可能な計算機を新規に導入したが,余剰電力に限界があり,性能を充分に発揮できなかった.そこで,今年度は電力供給体制を改善し,充分な稼働率で研究の推進を図る.また,帯域幅500GB/sのMCDRAMを搭載した高速計算機を2ノードも,試し計算等において積極的に活用し,その高速性を引き続き享受する.計算機調達環境については,当該年度からは状況が改善してきているものの,半導体製造工場の稼働率は新型コロナウィルスの影響で依然として下がっており,高速計算機は製造期間が長く価格も高止まりする傾向にある.したがって,今年度の早期に機種を選定し発注することが肝要と考える.計算機の見積価格次第であるが,新型コロナウィルスの影響で続々と国際会議が延期されていることを鑑み,今後の研究発表用に確保しておいた予算を計算機購入に回すことも視野に入れている.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては,購入を予定していた計算機の納期が当初予定より遅くなり年度内に処理できなかったことと,コロナ禍により前々年度より開催が延期されていたロシア開催の国際会議が,このたびのウクライナ侵攻により会議自体がキャンセルされたことによる渡航費の余剰分である. 使用計画としては,次年度からは少なくとも国内の学会のいくつかは現地開催の予定があるため渡航滞在費として支出の可能性が見込め,また計算機についても年度初頭に購入することを予定している.また,大量に生成される数値データの保存用ストレージについても用意する予定である.
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Research Products
(1 results)