2022 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球に学ぶ懸濁液のレオロジーコントロールとレオロジー同定法
Project/Area Number |
20K04266
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
福井 智宏 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 准教授 (00451542)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レオロジー / 粒子懸濁液 / 非ニュートン流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
懸濁粒子の大きさに対して十分に広くない流路では,懸濁液の実質的な粘度(実効粘度)は,流下する粒子の半径方向位置に強く依存する.すなわち,粒子が流路壁面近傍を流れる際には実効粘度が上昇し,流路中心付近を流れる際には実効粘度が下がる.このように,狭い流路を流れる懸濁液のレオロジーを考察する際には,アインシュタインの粘度式が示すような粒子濃度のみならず,粒子の半径方向位置の影響を十分に加味する必要がある.本研究では,粒子慣性力が粒子の半径方向への力学的平衡位置に与える影響を,正規化格子ボルツマン法と仮想流束法を組み合わせたtwo-way coupling手法による数値シミュレーションにより調べた.これにより圧力駆動に伴う懸濁液流れ解析を行い,粒子密度分布の時間変動を調べた結果,次のような新たな知見を得た.①微視的な懸濁粒子が流下するに伴い,巨視的な速度プロファイルが変化し,②これにより,懸濁粒子の力学的平衡位置が変化し,③懸濁液の溶媒層厚さが変化することが分かった.このように,微視的な粒子の挙動が,巨視的な懸濁液レオロジーを変化させるメカニズムの重要な因子の一つを明らかにした. 本研究課題のような,懸濁液と懸濁粒子の相互作用を精度良く再現するためには,高効率な計算解析手法の開発が必要不可欠である.当研究室にて独自に開発してきた流体ー固体連成解析手法は,スパコン等でも採用されている従来のスキーム(例えば,格子ボルツマン法ー埋め込み境界法)に比べて,さらに10倍程度の高速化を達成しており,今後の大規模並列計算に向けての良い準備を整えることができた.
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