2020 Fiscal Year Research-status Report
Effect of wall roughness on turbulent structures based on mean vorticity transport equation
Project/Area Number |
20K04274
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
亀田 孝嗣 近畿大学, 工学部, 准教授 (70304491)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乱流 / 壁面せん断流 / PIV |
Outline of Annual Research Achievements |
令和二年度では,チャネル上下壁面に付加する壁面粗度の相対粗さを小さくするために既存のチャネル風洞のチャネル高さを15mmから25mmへ,チャネルの流れ方向寸法を2250mmから3750mmへの改良を行った.これらの改良に伴い,チャネルアスペクト比は12となった.風洞改良後の風洞の特性を明らかにするために,チャネル壁面が滑面の状態において,以下の項目で計測を行い,標準的な二次元チャネル流となっていることを確認した. 【1.壁面摩擦抵抗係数】 チャネル上壁スパン中心位置に流れ方向に50mm間隔で設けた壁面静圧孔から,時間平均壁面静圧を計測した.十分発達した流れ方向の範囲(チャネル入口から下流2500mm以降の範囲)で算出した壁面静圧勾配から壁面摩擦抵抗係数をチャネル高さに基づくレイノルズ数が3000から8000の範囲で評価した.測定結果とDeanの経験式は概ね一致することが確認された. 【2.チャネル中心断面における時間平均速度およびレイノルズ応力分布】 チャネル入口から下流3500mmの位置でPIV計測を実施した.これは,壁面を粗面状態にした際に壁面粗さが流れに及ぼす影響を定量化する基礎量(平均速度場に対して壁面粗さによって生じる減速量や乱れ強さの増加量)を求めるための基準となる滑面上の流れがPIVで定量的に計測でき,既存のデータと良好に一致することを確認するために行われた.高速度カメラのフレームレート,シャッタースピードおよび粒子画像取得領域の大きさを数条件変化させ,粒子移動量の大きさと関係する速度ダイナミックレンジを大きくすることを試みた.その結果,チャネル高さに基づくレイノルズ数が3000,5000および8000において,壁近傍領域を除く範囲で平均速度およびレイノルズ応力分布が既存の結果と良好に一致する結果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では令和二年度において,(1)回流型小型チャネル風洞の改良,(2)滑面平板での標準的な流れの確認,および(3)網粗面での抵抗係数の評価を実施する予定であった. (1)については,網粗面を設置した際に網粗面高さに対するチャネル高さの比(相対粗さ)を小さくするためにチャネル高さを25mmへ変更した.この寸法はチャネル側壁の影響がチャネル中心部の流れに対して小さくなるアスペクト比となるように決定した.また,チャネル高さの変更に伴い,チャネルの流れ方向の全長を1.7倍程度大きくした. (2)については,風洞改良に伴いチャネル流が標準的な流れを形成しているかを確認,またチャネル上下壁面を粗面とした場合に比較対象の基準データとして利用するために実施された.高速度カメラの設定(フレームレート・シャッタースピード)および粒子画像の取得領域の大きさを変更することで,既存のデータと概ね一致することが確認された. (3)については,網の購入したが,(2)のデータ取得条件を見出すために時間を要したため,網粗面での抵抗係数の計測が実施できなかった. 以上を勘案して,”区分(3)やや遅れている”と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では,令和二年度に実施することができなった網粗面での抵抗係数の評価と網粗面上の速度場のPIV計測を実施する. 網粗面での流れの計測では,3種類の開口比のことなる金網を使用するため,網を設置した平板を速やかに変更できるように各網専用のチャネル上下壁面を用意する.上壁面部分にはチャネル内の流れにレーザー光を照射する照射用小窓を設ける. 抵抗係数の算出に必要とされる壁面静圧は,側壁面部に設けた圧力孔から計測する.これに関して,令和二年度にチャネル上壁面に設けた圧力孔,および側壁面に設けた圧力孔から測定された壁面静圧を使用して算出された抵抗係数が良好に一致することを確認している.この結果に基づき,網の幾何特性と抵抗係数の関係を整理する. 網の開口比が網上部の平均速度場および乱流場に与える影響を調査するためにPIV計測を行う.流れ方向平均速度については,滑面上の流れにおいて対数速度分布が成立する高さ方向範囲で対数速度分布の傾きが一定となるように仮想高さ方向原点を決定し,粗面と滑面上の平均速度分布の差を与える粗さ関数を評価する.また,乱流場については運動量の輸送に寄与するレイノルズせん断応力に着目する.粗さ関数およびレイノルズせん断応力の大きさと網幾何特性(例えば,粗さレイノルズ数や粗さ密度等)との関係を明らかにする.さらに,平均速度分布差の指標の一つである平均渦度に着目し,平均渦度方程式中の変動渦度・変動速度相関値の評価を試みる.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは,コロナ禍において学会講演会が軒並みオンライン開催となり,出張旅費使用の必要性が生じなかったためである.翌年度においても学会講演会はオンライン開催となることが予想されているため,旅費使用ではなく風洞関連物品費(粗面用平板の作成等)およびとレーザー粒子発生装置関連物品費として使用する計画を立てている.
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