2021 Fiscal Year Research-status Report
ペンギン肌リブレット~3次元物体表面におけるリブレットの全抗力低減効果の研究
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20K04283
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 博人 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80624725)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リブレット / 壁面摩擦 / 抵抗低減 / ペンギン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度の平板における研究成果に基づき、ペンギンの胴体の羽毛を模倣したリブレットフィルム製作と抗力計測の精度を向上させて、様々な条件で実験データを取得した。データの解析結果をまとめて、国内学会で1件発表し、国際論文を1報投稿した。国際論文は現在リバイズ中である。 次に、リブレットフィルムを3次元物体に適用した。物体形状は断面が正12角形の紡錘体とし、3Dプリンタで製作した。紡錘体の側面輪郭曲線は、ペンギンの背中の輪郭に基づいて設計した。リブレットフィルムは正24角形紡錘体の展開図状に製作して、スプレー接着剤で貼付した。フィルムを貼付した紡錘体の抗力を回流水槽で計測した。平滑フィルムを貼付した場合と比較して抗力低減率を求めた。その結果、興味深いことに、平板の時よりも、抗力低減率は向上した。向上の理由が、ペンギンの羽毛に基づくリブレット形状に起因するのか、紡錘体まわりの表面流れに起因するのかは、まだ分かっていない。 さらに、ペンギンの羽ばたきに伴うヒービング(背腹方向の振動)を再現するために、高速リニアアクチュエータを回流水槽に設置して、フィルムを貼付した紡錘体をヒービングさせながら抗力と揚力を2分力計で計測する装置を構成した。ヒービング振幅や速度は、当研究室で過去に行った実際のペンギン遊泳の運動解析結果に基づいて決定した。これまでに、ヒービング中においても、遊泳速度方向に対する抗力はリブレットフィルムによって固定時と同程度に低減するという結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペンギン模倣リブレットフィルムの適用範囲を,これまでの2次元平板から、3次元の紡錘体に拡張できた。さらに物体をヒービングさせる実験セットアップも構築できた。抗力計測の精度も向上し、国際論文投稿に至った。投稿論文は現在リバイズ中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒービングする紡錘体での抗力計測実験をさらに進め,抗力低減メカニズムの理解のためにPIVによる流れ場の可視化にも取り組む。また,これまでの平行で一様なリブレットの平面パターンだけでなく,羽単位で分割するなどの様々なパターンを比較する。さらに,フィルムに切れ込みパターンを加えて伸張性を付与し,連続的な曲面への貼付を目指す。
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Causes of Carryover |
ヒービング用のリニアアクチュエータ一式の費用分が,同じ回流水槽を使用する別研究の予算によって購入できたため,節約できた。また,当初予定していた学会発表の旅費が、オンライン開催や参加見送りによって,かからなかった。今後は,実験の製作費や計測機器購入費および旅費に充てる計画である。
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Research Products
(3 results)