2022 Fiscal Year Research-status Report
ペンギン肌リブレット~3次元物体表面におけるリブレットの全抗力低減効果の研究
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20K04283
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 博人 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80624725)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リブレット / 壁面摩擦 / 抵抗低減 / ペンギン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度から継続して、ペンギンの胴体をモデルとした断面が正24角形の紡錘体を用いて回流水槽で抗力計測実験を行い、3次元物体におけるペンギン肌リブレットの抗力低減効果を調べた。無次元リブ間隔 s+ の範囲はペンギンの遊泳条件に基づき 3.9 から 13.6 とした。その結果、無次元リブ間隔 s+ が 7.29 のときに最大抗力低減率 3.5 %を示した。これは、同じ設計のリブレットを平板に貼りつけた場合の抗力低減率 0.6% よりも大きい。また、実験した s+ の全範囲で、紡錘体の場合の方が平板の場合よりも抗力低減率は大きかった。これは、リブレットが摩擦抗力だけでなく、後流剥離による圧力抗力も低減したことを示唆する。 リブレットの圧力抗力低減効果の検証するために、紡錘体の後端から後流にかけての流れ場をPIV(粒子画像速度計測)実験により可視化した。平均流速ベクトル場から流線を描くと、リブレットを貼り付けた場合は貼り付けない場合に比べて、流線は紡錘体の近くを通った。これは、後流の剥離領域が小さくなったことを意味し、圧力抗力が小さくなったことを示唆する。 一方、ヒービングする紡錘体においては、ヒービングしない場合に比べて、抗力低減効果は小さくなった。リブの断面形状を変えて比較すると、ペンギンの羽毛を規範とした台形リブが、もっとも抗力低減効果の劣化を抑えた。 研究成果の発表としては、昨年度までの平板の抗力計測実験に基づく成果を国際論文誌に1件、国際学会(オンライン参加)で1件発表した。また、本年度の紡錘体の抗力計測実験に基づく成果を国内学会で1件発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3次元の紡錘体における抗力低減効果を計画通り実証できた。さらに、3次元物体においては、本リブレットが摩擦抗力のみならず圧力抗力も低減することを、抗力計測実験とPIVによる流れ場可視化実験から示唆することができた。また、昨年度までの2次元平板での実験結果に基づく成果を、生物規範工学の一流国際誌 Bioinspiration & Biomimetics に発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
紡錘体における抗力計測実験および流れ場可視化実験に基づく成果の国際論文誌への投稿を目指し、論文執筆および査読結果への対応に必要となる最終実験を行う。また、これまでの研究室での小型回流水槽実験を踏まえて、外部機関の大型水槽施設を利用し、より大きな物体での高レイノルズ数における抗力低減効果の調査も目指す。
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Causes of Carryover |
本年度は、国際学会 SEB Annual Conference 2022(モンペリエ・フランス)への現地参加を取り止めてオンライン参加したため、繰越額が生じた。 次年度の繰越予算は、国際論文誌への投稿および査読結果への対応のための最終実験の費用、および論文の英文校正費に充てる。
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