2020 Fiscal Year Research-status Report
圧力振動場を利用した粘弾性流体の気液界面近傍の流動構造制御とその応用
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20K04285
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩田 修一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00293738)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 粘弾性流体 / 流動複屈折 / 気泡 / 圧力振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請では,粘弾性流体に強い圧力振動の印加によって形成される特異な界面形状について,形成メカニズムの定量的解明を目指す. 初年度には,応力制御式レオメーターの計測部に透明な2枚の円形石英プレートからなる平行平板間の流れに対して, 532nmの円偏光に変調した平行光源が石英プレートに対して垂直に入射できる光学系を作成した.上側プレートの回転によって生じるトルクをレオメーターによって計測し,またサンプルの透過光を2次元偏光高速度カメラで撮影し,両者の結果を比較できるシステムの組み立てを行った.サンプルとして,ひも状ミセルを形成するCTAB/NaSal水溶液やゼラチン水溶液などを用いて定常回転時,正弦波振動回転時における計測など,基礎的なデータの収集と,応力と複屈折の関係を示す光弾性係数の評価を行った.また,サンプルの様子については,別の角度から高解像度の4Kカメラで撮影した. また,圧力振動場の測定と並行して冷却によるゲル化が進行するゼラチン水溶液中を上昇する自然上昇気泡の形状を,2次元偏光高速度カメラを用いて撮影した.ゲル化点を過ぎた時点の気泡下部に発達する特異形状について撮影し,遅延分布と気泡形状,表面張力との関連性について考察した.これらの結果については,日本機械学会2020年度年次大会,化学工学会 第51回秋季大会,第68回レオロジー討論会,日本機械学会 第98期 流体工学部門 講演会,ブラジルで開催された4年に一度のレオロジー分野の最も大きな国際会議であるInternational Conference of Rheology 2020(ICR2020)にそれぞれ口頭にて報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画は,応力制御式レオメーターを用いた石英プレート間サンプルが形成する遅延分布を2次元偏光高速度カメラで計測するシステムの構築が中心である.また,ゼラチン水溶液中での検討については気泡の特異形状と遅延分布との関連性について成果が得られており,学会に報告した.研究実績の概要で示したとおり,計画通り完了した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,応力制御式レオメーターを用いた計測ついて引き続き2次元偏光高速度カメラを用いてデータ収集を行う.ゲル化点を過ぎた時点で気泡下部に出現する気柱について撮影し,この気柱下端における力のバランス評価を進め,理論的な考察を進める.その後,圧力振動場へ議論を展開する.また,気泡近傍に形成される局所的な流れ場,応力場について,偏光高速度カメラを用いて評価を行い,詳しく検討する.また,コロナ禍の状況にもよるが,気泡,液滴,分散プロセスに関する国際会議MMPE2022(ベルリン)や流体流れのモデル化に関する国際会議CMFF'22(ブダペスト),日本機械学会年次大会,流体工学部門講演会,レオロジー討論会などで研究成果を発表する予定である.
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Causes of Carryover |
コロナ禍による緊急事態宣言があり,多くの学会がオンライン開催に変更された.そのために出張費が削減された.より効率的な実験の運用を図るために,気泡が上昇しても撮影範囲内に収まる仕組みを導入する予定である.
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