2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of PSP measurement system for detecting fien differential pressure on the surface of rotating blade
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20K04292
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
江上 泰広 愛知工業大学, 工学部, 教授 (80292283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 佑 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (20402513)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 感圧塗料 / 微差圧計測 / 回転体 / PSP / アナログ信号 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,感圧塗料(PSP)を用いて低速流れなどの微小な圧力変動の計測精度を向上させる試みが盛んになされてきている.PSPは絶対圧センサであるため大気圧付近(~100 kPa)での100 Paの圧力変動で0.1 %程度の発光強度変化が生じる.この変化は12 bit (4096階調)の高速度カメラで計測すると4階調程度の変化にしかならず圧力分解能が不足している.これまでの研究では,計測後の様々な画像処理によってノイズを除去することで,ΔP~100 Pa程度の圧力変動を実現してきた.しかし数十Pa以下のさらに小さい変動の計測では,この高速度カメラの圧力分解能の低さがボトルネックとなっている.そのため微小圧力変動を高分解能で計測する新しい計測方法の開発が重要な課題となっていた. そのため本研究では,12bitデジタル画像を出力する高速度カメラの代りに,アナログ信号を出力する光電子増倍管(PMT)を用いて高精度で計測する手法の開発を行った.PMTからのアナログ信号フィルタを用いて直流(DC)成分と変動(AC)成分に分離し,AC成分を高分解能で計測することで微小圧力の高精度計測の実現を目指した. 本年度は共鳴管の振幅,周波数を変化させた圧力波を用いて,計測手法の検証を行った.AC成分だけをフィルタを用いて分離して高分解能で計測することにより,周波数156Hzにおいて振幅49Paでも高精度で計測することに成功した.また,通常では点情報しか得られないPMTを用いて面情報を得るために,レーザーを照射する模型上の点を移動させて計測したものを面データに再構成することで,PMTを用いた非定常圧力分布の面計測の実現も試みた.その結果これまでの高速度カメラでは露光時間が不足して精度良い計測が困難であった2335Hzと高い周波数においても圧力変動場の時系列データを高い精度で計測できることが実証された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は12bitデジタル画像を出力する高速度カメラの代りに,アナログ信号を出力する光電子増倍管(PMT)を用いて高精度で計測する手法の開発とその検証を行った.PSPの圧力による微小な発光強度変化を光電子増倍管(PMT)で計測し,そのアナログ出力信号からフィルタ処理によって変動成分 (AC成分)を抽出し,10 bit のオシロスコープでデジタル信号に変換して計測した.どの程度微小な圧力変動が計測可能なのか確かめるために,共鳴管の共鳴周波数(156 Hz, 847 Hz)の音圧を変化させ,共鳴管の端壁に設置したPSPで圧力変化を計測する試験を行った.その結果高速度カメラでは非常に困難な156Hzで49 Pa程度,847Hzで87Paの圧力変動も高S/Nで計測することができた. 次に高速度カメラのような面計測を行うために,点計測のPMTとレーザー光をトラバース装置で移動させながら計測を行い,面データを再構成する実験を行った. スピーカーを2つ取り付け圧力変動の面分布が生じる共鳴ボックスを作成し,PMTとレーザーを移動させながら圧力変動を計測した.圧力センサの信号の位相情報を参照データとして使用することで圧力変動の面分布を再構築した.その結果共鳴周波数2335Hzにおいて圧力の面分布の時系列計測を実現することができた.またPMTの特性を生かして2MHz以上の高い時間分解能での計測も十分行えることを確認した.さらに計測点数を増やすことで空間分解能を高めることができると考えている. 以上のように,PMTからのアナログ信号をフィルタ処理によってDC成分とAC成分に分離し,変動成分を高分解能で計測する手法が,微小圧力計測に非常に有効であることがわかった.
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Strategy for Future Research Activity |
あ本年度の結果より,本研究で提案した微小圧力を高分解能で計測する手法の有効性が示された.今後は,ガルバノミラー等を用い,高い空間分解能のスキャニング計測を短時間で行う計測システムの構築を行う.そして,構築した計測システムを回転体に適用した試験を行う.また感圧塗料からの微小な光を高S/Nで計測するためには数kHzが上限であった高速度カメラでは困難であるMHzオーダーの時間分解能で計測を実現する.これにより従来困難であった高周波数の微小圧力変動の高精度計測を実現する.
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Causes of Carryover |
新型コロナ禍のため学会発表及び研究打ち合わせがオンラインで行われ,旅費を使用しなかったため。来年度の旅費および実験消耗品に充てる予定である.
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Research Products
(14 results)