2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K04294
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
板野 智昭 関西大学, システム理工学部, 教授 (30335187)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 球面クエット流れ / 乱流遷移 / 数理モデル / 実験流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、数値計算と実験の両面から球面クエット流の乱流遷移の過程を明らかにすることであった。実験面では、期間をとおして構築した実験装置により基本流からスパイラル状の流れへの遷移が観測できた。半径の異なる内球面と外球面を数種類用意し、半径比の増加に伴い遷移レイノルズ数が増加することが確認できた。また、遷移で現れるスパイラル状の流れの位相速度は、内球の角速度の1/6程度であることも観測することができた。
フレーク状粒子を懸濁させた作動流体を用いて可視化実験を行うと、遷移の前後で流れの模様に不連続的な変化が観測された。そこで、ニュートン法を使ってナビエストークス方程式に基づきスパイラル状の流れの数値解を求め、得られた流れの中を運動する微小なフレーク状微小粒子の並進運動と回転運動を数値的に再現した上で、粒子の配向に基づいた光の反射模様を再現してみた。数値的に得られた可視化模様と、実験で観測された可視化結果との間に良好な一致が見られた。これらの成果は、球面クエット流の乱流遷移の理解を深め、より高度な数値モデルの開発や工学的な応用につながる可能性があると考えられる。
球面クエット流の実験は、回転シャフトの芯出しが測定を左右する肝である。研究期間途上で、最初組立てた実験装置においてこの点が問題視されるようになったため、期間後半では実験装置の設計をしなおし、内球面に接続するシャフトのホルダーを、外球面を構成する容器に固定する方法をとるように装置の改良を行った。改良により、内球を回転させるだけでなく、外球面を構成する容器も回転させた場合の拡張された球面クエット流の実験を、高いレイノルズ数まで安定して行うことができるようになった。実験から、スパイラル状の流れは、外球の順回転・逆回転いずれに対しても不安定化することが明らかになった。内球を楕円体に変更した時の遷移の変化の研究にも取り組んでいる。
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