2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on liquid water content fluctuation in high Reynolds number turbulence for early detection of rapidly developing clouds
Project/Area Number |
20K04298
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
松田 景吾 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(地球情報基盤センター), 研究員 (50633880)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 雲乱流 / レーダー反射強度 / 乱流クラスタリング / 直接数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,乱流中での雲粒の不均一な分布状態(乱流クラスタリング)によってレーダー反射強度が増加する効果を利用して,豪雨の種となる「ゲリラ雲」を早期に探知するシステムを実現するため,高レイノルズ数乱流中での乱流クラスタリングと水蒸気圧変動による雲水量変動の形成機構を大規模直接数値計算(DNS)により解明し,雲水量変動スペクトルの関数モデルを構築することを目的としている.令和2年度は,高レイノルズ数乱流場での乱流クラスタリングが雲水量変動スペクトルに及ぼす影響の解明に取り組んだ.具体的には,最大40963点の計算格子を用いて高レイノルズ数一様等方性乱流中の個々の雲粒をラグランジアン的に追跡する大規模DNSを実行し,雲水量変動スペクトルのレイノルズ数およびストークス数依存性を調べた.その結果,渦度強度が最大となるスケールよりも大きなスケールにおいて,これまで未報告の大スケールクラスタリングが現れることを明らかにした.この大スケールクラスタリングは乱流場への強制外力スキームを変更しても形成されたことから,数値解析手法に起因する現象ではないことを確認した.さらに,この大スケールクラスタリングの形成には,渦と雲粒数密度の空間的な相関が寄与していることを明らかにした.また,ボロノイ解析を応用することにより,クラスタリング形成プロセスに関わる局所的な粒子数密度の収束・発散を評価する新解析手法を提案し,雲粒のような慣性粒子の収束・発散を定量評価できることを確認した.今後,この収束発散手法等を活用し,大スケールクラスタリングの形成機構の解明と関数モデルの構築に取り組む.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度には,高レイノルズ数乱流場での乱流クラスタリングが雲水量変動スペクトルに及ぼす影響の解明に取り組む計画であった.そのため,地球シミュレータを利用して3次元高レイノルズ数乱流場の大規模DNSを実施することにより,高レイノルズ数乱流中での粒子クラスタリングデータを取得し,その空間変動スペクトルを算出した.その結果,これまで未報告の大スケールクラスタリングの存在を確認し,乱流への強制外力スキームによらずロバストに存在することを明らかにした.さらに,クラスタリングの形成機構の解析のため,Aix-Marseille大学と協同して局所的な粒子数密度の収束・発散を評価する新解析手法を提案し,流体力学分野の権威ある国際学術誌J. Fluid. Mech.にて発表するに至った.以上のように,概ね想定通りに研究が進展していることから,進捗状況区分を「(2)おおむね順調に進展している。」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
大スケールクラスタリングの形成機構を明らかにし,雲水量変動スペクトルの関数モデルの構築に取り組む.また,乱流中の水蒸気圧変動が雲水量変動に及ぼす影響を明らかにする.そのために,水蒸気圧変動と相変化を考慮できるようにプログラムを改良し,DNSを実行する.まずは雲粒が流れに追随するとして,相変化の特徴時間スケールを人為的に変えた複数ケースについてDNSを実行することにより,慣性力が無視できる場合の水蒸気圧変動の相変化依存性と雲水量変動スペクトル構造を明らかにする.
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Causes of Carryover |
当初計画していた情報収集とディスカッションのための外国出張について,コロナ禍の影響により中止を余儀なくされた.コロナ禍状況が改善した後に,成果発表と情報収集・ディスカッションを加速するための外国出張を実施する予定である.
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Research Products
(4 results)