2022 Fiscal Year Annual Research Report
高熱伝導性エポキシ樹脂の開発を指向した無機粒子表面での液晶分子の配向制御
Project/Area Number |
20K04301
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
羽場 修 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (70261328)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 垂直配向 / ネマチック液晶 / 配向剤 / エポキシ樹脂 / 熱伝導性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、無機充填材と液晶性モノマーを用いたエポキシ樹脂との界面での、液晶の配向方向を無機充填材に対して垂直方向に制御し、これによって充填材間 に伝熱パスが形成することを確認すること、およびその形成によるエポキシ樹脂の熱伝導性への影響を確認することを目的とする。これまでに合成してきた配向剤は分子構造中に窒素原子を含むものであったが、窒素は空気中で酸化されやすく、熱によって分解することが危惧されるため、まず窒素原子を含まない配向剤 の設計と開発を行った。2020年度はそのような配向剤として、エーテルあるいはヒドロキシ基を含むポリアクリレート系コポリマーを合成した。得られたコポリ マーをネマチック液晶に混合し、2枚のガラス板に挟んだところ、ネマチック液晶全体に垂直配向を誘起できることを確認した。さらに、垂直配向誘起に対する コポリマー組成とモノマーの構造に影響について検討した。また、予定を前倒しして液晶性ジエポキシドモノマーの合成を行った。合成したモノマーは100- 160°Cの範囲でネマチック相を示し、本課題に利用可能であることが確認できた。2021年度はこれに引き続き、ポリエーテル系コポリマーを合成した。配向 剤として機能するためには、ポリアクリレート系ではヒドロキシ基が必要であったが、ポリエーテル系ではアルコキシ基で十分であった。2022年度は、2021年度に合成したポリエーテルについてコポリマー組成や側鎖のエチレンオキシ基の長さの影響について検討した。その結果、エチレンオキシ鎖長が2の時に、液晶性モノマーのコポリマー組成が0.2-0.5の範囲で垂直配向を誘起できることがわかった。また、2020年度に合成したジエポキシドモノマーへの垂直配向誘起について検討したが、このモノマーは配向剤を加えなくてもガラス基板上で垂直配向性を示し、配向剤の影響を確認することができなかった。
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