2021 Fiscal Year Research-status Report
An ignition control method with optimizations of the composition of mixture and turbulence characteristics based on molecular diffusion characteristics
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20K04311
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中原 真也 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (20315112)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 予混合燃焼 / 着火促進 / 微小火炎 / ガス流動 / 燃焼速度 / 火炎伸長 / 水素 / ルイス数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究代表者の知見を応用し、限りある炭化水素燃料の高度有効利用および水素の安全利用の促進を担保するために、燃焼特性のみならず分子拡散特性に優れた水素の活用による混合気組成および乱流特性の最適化により、超希薄や高強度の乱流場まで適応できる包括的な着火制御法の構築を目的としている。初年度は、主に実験装置や手法の構築および予備的な実験を実施した。2年目となる本年度は、高強度の2つの異なる乱流特性場での着火制御法を確立するために、水素を添加した炭化水素混合気を主な対象とし次の事項を主に検討した。 等方性乱流場を得ることが出来る乱流燃焼定容器では、まず対象とした混合気の基礎燃焼特性として、混合気静止場での着火および火炎半径が5mm以下の微小火炎の燃焼速度特性を把握するために高速シュリーレン撮影を行った。続いて、乱れ強度u’が2.8m/s程度までの範囲で、最小点火エネルギ-Eiminの計測および着火・火炎伝ぱの観測を実施した。ここでは、乱れや水素添加量および燃料の種類並びに当量比がEiminに与える影響の解明、さらに着火特性への支配因子の検討を行った。また、自発光分光の観測についても試み、当量比などの影響を検討した。 一方、スワール流場を発生できる扁平円筒状型定容燃焼器では、点火電極位置の旋回流速度uligが60 m/sまでの範囲で、点火エネルギーを固定の下、着火確率、最大圧力などの燃焼圧力履歴、熱損失の評価のための壁面熱流束量、未燃燃料量の計測および火炎伝ぱの観測を実施した。ここでは、これら因子へスワール流速、水素添加量および燃料の種類が与える影響を解明すべく検討を行った。 なお、炭化水素には、分子拡散特性に着目する観点から、LPGの主成分で分子量が大きく拡散速度が酸素より小さなプロパン、LNGの主成分で分子量が比較的小さく拡散速度が酸素より大きなメタンを使用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画のとおり、分子拡散特性が異なる炭化水素燃料としてメタンおよびプロパンを用い水素を添加した層流燃焼速度SL0を揃えた混合気を対象に検討した。なお、メタンやプロパン-空気混合気では着火しない当量比f0.5も対象としている。 等方性乱流場での実験は、最初にガス流動の静止場(層流場)で最小点火エネルギ-EiminLの計測および微小火炎の燃焼速度SLlの定量化を行った。ここでは、f0.5~1.4の水素-プロパン混合気(SL0=25&15cm/s)およびf0.5~1.2の水素-メタン混合気(SL0=25cm/s)を対象とした。その結果、代表値とし火炎半径4mmの燃焼速度SLl@4とルイス数Leとの関係には、f、SL0および水素添加量dHに因らず、線形的な関係があることを明らかにできた。 続いてu’=2.8m/s程度までの乱流場で最小点火エネルギーEiminTについて検討を行った。その結果、提案する層流場で得られたSLl@4を基準としたカーロビッツ数KaT4を用いると、f、相対乱れ強度u’/SL0およびdHに因らず、乱流場で着火が困難になる領域とそうで無い領域に分けられることを明らかにできた。 一方、スワール流場での実験では、主にf0.5でSL0を25cm/sに揃えた混合気を対象とし検討した。その結果、同一dHではメタンより分子拡散特性が小さいプロパンの方が、着火確率が低下するものの、dHを50%程度以上にすると、急激に改善し、スワール流速度uligが60m/sの超高速ガス流動場でも着火することを明らかにした。さらに、uligが60m/sでも、最大圧力やこの圧力至る時間および未燃水素量ともに、dHの増大により概ね改善すること、加えてこれらの値がルイス数とも相関関係が存在する可能性があることも明らかにした。また、壁面熱損失にはdHに対して最適値が存在することもわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年となる令和4年度は、さらに分子拡散特性を活用した組成と乱流特性の最適化による着火制御法を構築するために検討を進める。特に、分子拡散特性の影響も検討するために希釈ガスの影響、さらに化学反応特性の影響や実機関を念頭にし水素の炭化水素-空気混合気への影響について検討を進める。 等方性乱流場では、2年目までに明らかにした、層流場で得られたSLl@4を基準としたカーロビッツ数(火炎伸長度)KaT4に関して、包括的に乱流燃焼場での着火特性の整理が可能なのかに着目した検討を進める。具体的には、希釈ガスなどの分子選択拡散効果にも着目したさらに広い混合気を対象にし、まず静止場での微小火炎の燃焼速度特性の把握、そしてu’>3m/s以上又はu’/SL0>15の高強度乱流場での着火特性の把握を進める。 スワール流場では、引き続き、等方性乱流場と同様の混合気に着目し、スワール流速度u1igを60 m/sでの着火および燃焼特性の把握、熱流束の計測による壁面熱流束の影響の把握や等方性乱流場との着火特性の比較検討などを試みる。 さらに最終的には、分子拡散特性に着目し、混合気組成および乱流特性に着目した包括的な着火制御法の構築を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、学術会議が延期やオンライン開催となったため、旅費等を繰り越しました。これらの繰越金は、令和4年度の開催される学術会議などへ使用する計画である。さらに、繰越金は、水素を使用する本実験を安全に実施するために、装置の改修や安全対策の管理運営のために使用する計画です。
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Research Products
(5 results)