2021 Fiscal Year Research-status Report
チャネル脈動流でのディンプル面熱伝達促進の最適化によるフィルム冷却総合性能向上
Project/Area Number |
20K04321
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
村田 章 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60239522)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フィルム冷却 / 脈動流 / 伝熱促進 / ガスタービン翼 / ディンプル / 非定常法 / 流れの可視化 / 多目的最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者のこれまでの研究成果からフィルム冷却流の脈動化は大規模渦放出周波数の非整数倍周波数の場合にフィルム冷却効率を向上させ,フィルム冷却総合性能(正味熱流束低減率)を向上させる.一方,脈動化によるディンプル面の熱伝達率は定常冷却流とほぼ同一となり,十分な熱伝達促進が得られていない.そこで本研究では,ディンプル面のチャネル脈動流における最適化(脈動条件,形状)を実施し,その最適化結果をフィルム流へ適用することで正味熱流束低減率のさらなる向上を達成することを目的とする. 流路形状は実験と計算で同一である.ディンプル面形状は,面回転(0~60度)で傾斜させ,in-lineとstaggered配列について調べた.レイノルズ平均モデル(RANS)とLES(Large Eddy Simulation)による片側ディンプル面チャネル流完全発達域での計算をディンプル直径定義のストローハル数St=0~1.33,流速rms片振幅0~14.1%で行った.脈動化による熱伝達率の増加は0度以外のin-line配列で特に高く,St>0.6では低下した.30度と60度in-line,St=0.3,流速振幅14.1%で0度staggeredの定常流に比べ熱伝達率はそれぞれ12.4%,17.6%向上した.チャネル流の伝熱実験では計算と同一の角度・配列でSt=0.15, 0.3, 流速振幅0~12%の計測を行い,計算と同一の傾向を示した.フィルム流でも30度と60度in-line, St=0.15で伝熱実験を行い,60度in-lineで定常冷却流に比べ熱伝達率は22%上昇,正味熱流束低減率は4.7%上昇した.ステレオPTV(Particle Tracking Velocimetry)計測では,フィルム流の多断面計測を行い,3成分分解(時間平均,周期成分,ランダム成分)を用いて脈動化の影響を詳細に調査した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度のRANS計算では多目的最適化用の計算データをより効率的に計算するための格子生成方法の検討に時間がかかってしまった.そのため,RANS計算と並行して伝熱実験を行い,熱伝達促進が起きる脈動条件を伝熱実験で調査・確認した.また,PTV計測についてはより簡便に流れ場を調べるために,当初計画にはなかった伝熱実験用テストセクションにおける空気流での2成分PIV(Particle Image Velocimetry)計測実施可能性の検討を行った.しかし,脈動流への粒子追従性(オイルミスト直径,密度),レーザー照明強度,カメラのISO感度などの条件が揃わず,結局当初の計画通り作動流体を水としたPTV計測を行うこととした.さらに,PTV計測では3台目のカメラを導入して3成分PTVと同時に2成分PIVを行うことで,より簡便に脈動流速振幅とlip後流の大規模非定常渦の確認が行えるように計測システムの変更を行った. 2年度目の計算ではRANSの結果をLESの結果によって検証しながらの計算に時間がかかってしまった.伝熱実験においては,計算と並行してチャネル流では計算と同一角度・配列に対して,またフィルム流では計算結果から性能向上が期待される角度・配列に対して計測を行い,チャネル流では熱伝達率と伝熱性能係数(同一送風動力に対する伝熱性能を表す)が計算と同一傾向となること,フィルム流では正味熱流束低減率が向上することがそれぞれ示された.PTV計測については計測結果に3成分分解を行うことで冷却流脈動化の影響をより詳細に調べることができるようになった.
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Strategy for Future Research Activity |
2年度目は,RANSの結果をLESの結果によって検証しながらの計算に時間がかかってしまったが,数多くのディンプル面回転角度,ディンプル配列,ストローハル数,流速振幅での計算が行えた.今後これらのデータを用いての多目的最適化計算を進めていくことができる.伝熱実験は既に初年度から計測を開始しており大きな問題はない.PTV計測については初年度に空気流での計測可能性の検討,3台目のカメラの導入を行ったためにチャネル流のテストセクション改修が遅れているが,既存の装置にテストセクション部を付け替えるだけなので,3年度目に遅れは取り戻せる.また,3成分PTVと同時に2成分PIVを行うことで,より簡便に脈動流速振幅とlip後流の大規模非定常渦の確認が行えるとともに3成分分解によってより詳細な調査を行うことができる.
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Causes of Carryover |
理由:以下の2点が理由である.コロナ禍で学会・講演会がオンライン開催となり,旅費がかからなかったこと.RANSの結果をLESの結果によって検証しながらの計算に時間がかかってしまったために,伝熱実験,PTV計測でのディンプル面製作の一部が次年度に繰り越しになり,実験材料等消耗品の購入が少なかったこと. 使用計画:次年度の実験用材料等消耗品購入費として使用予定である.また,新型コロナの状況を見ながら,国際会議・国内学会での発表を行う際の参加登録費・旅費としても使用予定である.
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] Film Cooling Flow over Cutback Surface at Airfoil Trailing Edge Measured by Three-component Particle Tracking Velocimetry2021
Author(s)
Hayakawa, C., Murata, A., Inokuma, K., and Iwamoto, K.
Organizer
2nd Asian Conference on Thermal Science, Oct. 3-7, 2021, Fukuoka, ACTS-1209
Int'l Joint Research
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