2021 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ翼型チューブを利用した低温環境ヒートポンプ用高性能熱交換器の開発
Project/Area Number |
20K04324
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大西 元 金沢大学, 機械工学系, 助教 (80334762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 幸生 金沢大学, 機械工学系, 教授 (20179708)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 熱交換器 / 冷凍・空調 / 翼型チューブ / 着霜低減 / 吸着剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
エネルギー技術の開発や製品の省エネルギー技術の促進において,熱交換器の果たす役割は大きい.本研究では,低温ヒートポンプ用高性能熱交換器に関する設計指針を得ることを目的としている.低温環境下の熱交換器においては,着霜低減が重要な課題である.そこで,着霜低減技術として吸着剤による水蒸気の直接除去方式に着目し,吸着剤が塗布された熱交換器を直接蒸発器として使用することの有用性を示した.一方で,水蒸気の吸着挙動と着霜メカニズムの関係等,着霜環境下における吸着剤への詳細な水蒸気の移動メカニズムはほとんど未知である.本年度は,着霜環境下の吸着剤塗布面における詳細な物質移動メカニズム解明の立場から,まずは吸着剤が塗布された平板における着霜特性を,吸着剤が塗布されていないそれと比較しながら実験的に検討した.その結果,平板に吸着剤を塗布することで,水蒸気を吸着することによる無着霜時間が見られ,着霜遅延効果が現れることがわかった.また,高風速条件ほど無着霜時間は短くなることもわかった.さらに,翼型チューブ熱交換器の空気側の伝熱促進を目的に,渦発生体を付設した場合において,伝熱性能におよぼす渦発生体の影響について数値解析的に詳細に検討し,渦発生体の有効性を示せた.また,細径流路内の冷媒の相変化熱伝達を評価するため,冷媒が強制循環する細い閉流路で構成された相変化デバイスに対し,VOF法に温度回復法を組み合わせた計算手法により,相変化を伴う熱流動特性を数値解析的に検討し,詳細な知見を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,熱交換器の着霜低減に繋がる知見を得るために,吸着剤が塗布された低温水平平板面において吸着剤の水蒸気吸着が着霜特性に与える影響を実験的に評価し,着霜遅延効果が見られることを示せた.また,提案しているマイクロ翼型チューブ熱交換器の空気側伝熱性能をさらに向上すべく渦発生体を付設し,その幾何パラメータが圧力損失と熱伝達に及ぼす影響を数値解析的に検討し,十分な成果が得られた.さらに,冷媒の相変化熱伝達に関する数値シミュレーションとして,二相流が循環する細径流路内の相変化を伴う熱流動特性を詳細に検討できた.以上により,ほぼ当初の予定通りに進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,吸着剤の低温環境下における水蒸気吸着挙動と物質移動メカニズムの解明を行う.さらに,水蒸気の吸着を伴う霜層の成長過程・霜層密度・有効熱伝導率を評価すべく,霜層の詳細な観察と測定を行う.また,得られた結果から霜層モデルの構築を行い,得られた霜層モデルを組合せて霜層の成長予測とパラメータスタディを行い,吸着剤最適塗布条件を追究する.また,着霜しない吸着剤構造や塗布位置の最適化について評価する.また,提案するマイクロチューブ熱交換器のさらなる気相側伝熱性能向上を図るため,翼型形状ではないチューブを用いた熱交換器に関する検討を数値シミュレーションと実験の両面から進め,翼型チューブとの性能比較を行う.次に,ハイスピードカメラとマイクロスコープを組合せて冷媒の相変化挙動を観察し,流路内の冷媒分配モデルを構築することで分配特性を流路径と関連づけて検討し,実際の翼型チューブにおける複数流路設計の指針を得る.あわせて,冷媒の相変化熱伝達に関する数値シミュレーションも引き続き行い,相変化挙動を詳細に検討する.
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Causes of Carryover |
当初予定していた学会発表がコロナ禍ですべてオンライン開催となったため,旅費に未使用額が生じた.また,必要に応じて物品費を執行したところ当初の見込み額と執行額は少し異なった. 次年度の研究計画に変更はなく,前年度の研究費は計算ソフトウェアライセンスを増やす費用に充てることも含め,当初予定通りの計画で研究を進めていく.
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