2020 Fiscal Year Research-status Report
燃料組成が初期火炎核成長および最小着火エネルギに及ぼす影響の解析
Project/Area Number |
20K04327
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀 司 大阪大学, 工学研究科, 講師 (40744066)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 火炎核成長 / 点火 / 反応 / レーザ計測 / モデリング / プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では燃焼組成が火炎核の初期成長速度や最小着火エネルギ(MIE)に及ぼす影響を把握することを目的としている.本年度は定容容器を用い,静止した予混合気をレーザーにより着火させ,ハロゲンランプを用いたシュリーレン法により火炎の発達過程を撮影し,火炎核径の時系列変化を計測した.液体燃料の供給方法を確立できなかったため,気体燃料のメタン,プロパン,ジメチルエーテルを用いた.容器内圧力は0.1MPaとした.プロパンについては雰囲気圧力の影響を計測するため,0.1MPaに加えて,0.3 MPaと0.6 MPaの実験も行った.まず,定常火炎伝播の状態において,従来研究の層流燃焼速度が得られることを確認し,火炎核の計測を行った.計測結果より,火炎核成長の特性は燃料によらず,予混合気のルイス数が影響することを示した. さらにレーザによるエネルギー吸収量について計測した.エネルギー吸収量は容器入射前と容器通過後のエネルギー差から算出した.プロパン予混合気に対して,50mJの入射エネルギーに対して,約20mJのエネルギが吸収されており,約40%のエネルギが点火に利用されることがわかった.雰囲気圧力が増加すると,分子数密度が上昇するため,エネルギー吸収割合が増加する.ただし,0.6MPaのエネルギー吸収量は0.1MPaの場合と比べて3mJ(0.6%)の増加となり,雰囲気圧力の影響はそれほど確認できなかった. 次年度はMIEを計測するため,点火エネルギーが火炎核成長速度に及ぼす影響を調べる.また,三次元数値解析を実施し,実験結果と合わせて,火炎核成長過程のモデル式を検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響で装置の発注が遅れたが,10月から実験を本格的に開始し,当初の予定どおりに研究を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は容器を作成し,燃料組成が火炎核成長速度に及ぼす影響を計測した.レーザーの吸収エネルギについて計測した.MIEの計測も実施できる状態にある.すなわち,本年度は定量的に計測できる手法を確立したといえる.次年度は燃料や計測条件を変更して,定量的なデータを取得していく.燃料には,水素,アンモニアを追加で検討する. また,申請者らは詳細素反応機構による三次元燃焼解析,またプラズマ反応性流体の三次元計算手法を開発している.そこで,実験と同等の状態をDNSにより解析する. 火炎核成長速度とMIEのモデル化においては,申請者らが開発した火炎核成長の解析解を用いた手法を検討する.解析解の導出には等密度,準定常など多くの仮定を適用しており,実現象との乖離が懸念される.よって,計測結果とDNS結果をモデリングの課題を精査し,改良を進める.
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Causes of Carryover |
ソフトウェア(Overleaf)の利用料が当初予定した金額より少なく,1230円の残金が発生した.次年度の物品購入で速やかに使用する.
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