Improvement of accuracy of dew and frost point measurement and estimation for residual water in gas.

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K04329
• Research Institution: Saga University
• Principal Investigator: 石田 賢治 佐賀大学, 理工学部, 講師 (20304876)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 微量水分 / 露点測定 / 可視化解析 / 散乱光強度 / 露点推算 / 水素

Outline of Annual Research Achievements

燃料電池車用水素ステーションでは，予冷装置等の低温部で高圧水素中の微量水分が凝固して流れの不安定が生じる恐れがあり，ステーションの最適設計と運用のため，水素中の微量水分が凝縮や凝固する条件の把握が不可欠となる．本研究は，気体中の微量水分濃度の高精度モニターを実現するため，微量水分に関する露点計測および露点推算の高精度化を目指す研究である．
令和2年度は，開発してきた可視光と近赤外光による露点センサ鏡面の多波長可視化解析システムについて，近赤外光に対する感度と解像度向上のために新しいマルチスペクトルカメラ導入し光学系を改良した．近赤外光による撮影像からは露点センサ鏡面上で生成・消滅する凝縮滴や霜の厚さの情報が得られる．また，鏡面上の凝縮滴や霜の撮影像から，画像解析により水滴や霜を抽出して，大きさ，個数，厚さ等の情報を統計計算する必要があるが，抽出のための二値化法について，リアルタイム処理への対応と，二値化のしきい値の自動設定，局所的な最適しきい値の導入等を目指して詳細に検討し，画像解析プログラムを作成した．さらに，可視化解析システムに対して，露点センサ鏡面からの光線の偏光状態を可視化する第2の光学系を新たに組み込み，その基本的な性能を予備的測定より確認した．
散乱光強度シミュレーションは，通常の露点センサが鏡面において生成・消滅する水滴や霜を検知するレーザー照射光学系の詳細を検討するための研究である．本研究の従来の霜の円柱モデルは実際の霜からの散乱の傾向を表現するためには不十分であった．今回，半球表面に様々な凹凸パターンを設置した新しい霜のモデルを考案し，系統的なシミュレーションを実施して，新しい霜のモデルが従来の円柱モデルより妥当であることを確認した．また，これまで開発して来た高圧水素中の微量水分に関する3通りの露点推算法について，その改良の視点を詳細に検討した．

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

令和2年度は，新型コロナウィルス問題により実験的研究に多くの制約があったため，当初の研究計画を少し変更し，令和3年度に計画していた散乱光強度シミュレーションと露点推算法の改良を前倒しで令和2年度にも実施し，露点センサに関する実験的研究では，光学系および画像解析法の改良を令和2年度に実施し，測定セル部の改良と詳細な測定実験を令和3年度に実施することとした．
「研究実績の概要」の項目でも述べたが，令和2年度の成果の概要は，以下の通りである．
本研究で開発してきた露点センサ鏡面の多波長可視化解析システムの改良について，新しいマルチスペクトルカメラを導入し，近赤外光に対する感度と解像度向上を果たした．また，露点センサ鏡面の凝縮滴や霜の撮影像から，画像解析により水滴や霜のみを抽出する二値化法について，リアルタイム処理への対応と，二値化のしきい値の自動設定，局所的な最適しきい値の導入等を目指して詳細に検討し，画像解析プログラムを作成した．さらに，可視化解析システムに対して，露点センサ鏡面からの光線の偏光状態を可視化する第2の光学系を新たに組み込み，その基本的な性能を確認した．
散乱光強度シミュレーションにおいては，従来の霜の円柱モデルは不十分であったが，半球表面に様々な凹凸パターンを設置した新しい霜のモデルを考案し，系統的なシミュレーションを実施し，円柱モデルよりも妥当であることを確認した．また，これまで開発して来た高圧水素中の微量水分に関する3通りの露点推算法について，その改良の視点を詳細に検討した．
以上から，研究の進捗状況について「おおむね順調に進展している」と判断した．なお，以上の令和2年度の本研究の成果は，年度内に発表の機会を作れなかったが，令和3年度に成果公開する予定である．

Strategy for Future Research Activity

令和1年度末から発生した新型コロナウィルス問題に対応して，令和2年度の研究計画と令和3年度の研究計画の一部を入れ替えた．それ以外の点については，おおむね当初の研究計画の通りに推進していく予定である．具体的には，今後の研究の推進方策の概要は以下の通りである．
【令和3年度】令和2年度の計画から令和3年度に変更した露点センサに関する測定セル部の改良と詳細な測定実験を積極的に推進する．散乱光強度シミュレーションと露点推算法の改良については，継続的に推進する．
【令和4年度】前年度までに得られた成果と知見に基づき，鏡面の可視化と画像解析等の手法を用いた霜点域での測定に適した新しい鏡面冷却式露点センサを試作する．

Causes of Carryover

令和1年度末から発生した新型コロナウィルス問題に対応して，令和2年度の研究計画と令和3年度の研究計画の一部を入れ替えた．具体的には，令和3年度に計画していた散乱光強度シミュレーションと露点推算法の改良を前倒しで令和2年度にも実施し，露点センサに関する実験的研究では，光学系および画像解析法の改良を令和2年度に実施し，測定セル部の改良と詳細な測定実験を令和3年度に実施することとした．
以上の変更により，当初，令和2年度中に導入予定であった測定セル部の改良のための機器は令和3年度の導入することとなり，次年度使用額が発生した．令和3年度は，翌年度分として請求した助成金と合わせて，測定セル部の改良のために必要な機器を調達して導入し，詳細な測定実験を進める計画である．